金継ぎ

本漆・簡易金継ぎ金継ぎによる修理の違い

誰にでも、大切にしている品があると思います。そんなあなたのお気に入りが壊れたら、どうしますか?捨てますか?日本の伝統技術でありながら、1年前には国内でも全然知られていなかった金継ぎ(きんつぎ)が2020年春頃から始まったコロナ感染症の拡大がきっかけで、ステイホームを余儀なくされた現代に再び大ブームとなり、若い20代女子もTwitterやInstagram等のソーシャルメディアに金継ぎした器の写真や動画をあげて、おしゃれの話題になっているのは、ご存知でしょうか?!

お家にいる時間が増え、大切にしていたけど壊れてしまった器が戸棚の奥にあるのを見つけ、これを機に、DIY感覚で金継ぎで修理してみよう!と、新しい趣味として始める方が増えたのです。この金継ぎ自体には、実はいくつか種類があり、やり方などに違いがあることを知っている人は、まだ少ないかもしれません。

そこで今回は、金継ぎの種類とそれぞれの違いをYukiが徹底解説し、金継ぎに興味がある皆様が、ご自身のニーズにあったものを選択して楽しんでいただけるよう、その詳細を紹介させていただきます!!!

金継ぎには2種類ある

みなさん、金継ぎには、大きく分けて2種類あるのをご存知でしょうか?!

①簡易金継ぎ(英名:Modern Kintsugi)
②伝統金継ぎ/本漆金継ぎ(Traditional Kintsugi、あるいは単にKintsugi)

昔から漆芸に携わられている人からすると①の簡易金継ぎは、もやは「金継ぎではない!」「金継ぎと呼ぶな!」と怒られる感じですが、簡単にできることで流行っている簡易金継ぎを、もはや無視することができない世の中になっているため、この記事では、私の主観ですが、このように2つに大別させていただきました。

参考までに、実はこの他にも、実は江戸時代に流行った「焼き継ぎ」というお直しの方法もあり、欠けた部分を、粘土のようなパテで埋めて再度焼成するのですが、何百度にもなる高温の窯で焼くのが必要であったり、今はあまり一般的ではないため、今回は省略させていただきます。

実は器には、さまざまな補修のテクニックがあったのですね◎

本漆・簡易金継ぎにかかる時間

大きな違いの一つに、器を修復するのにかかる時間があります。簡易金継ぎは、どのような割れ・欠けの器でも
1日〜2日と非常に早く完成するのが特徴です。(新漆も、瞬間的には乾かないので、数時間触らないように気を付けた方がよいです)

一方、本漆金継ぎは漆が乾くのに特定の条件と日数がかかることから、1ヶ月〜3ヶ月、時には半年かかるものもあります。【漆が乾く条件や漆風呂についての記事はこちら】

金継ぎに必要な材料・道具

材料や道具についての違いを紹介します。
簡易金継ぎの方が、名前の通り簡易で、材料が少ないです。

簡易金継ぎの材料・道具

簡易金継ぎでは主に合成・工業溶剤を使用します。割れた器にはエポキシ系・シリコン系樹脂で、一瞬で固めてしまいます。欠けには、2層式になっているエポキシ樹脂を練って埋めます。
割れを接着した後や、欠けを埋めた上に、最後の仕上げとして「新うるし」とよばれる、実は漆とは全く関係のない粘着力のある合成の液体を塗ります。

その新うるしに、代用金粉や真鍮など、輝く金属粉を新漆に練り混ぜておくことで、塗った部分が金色の表面になります。道具としては、筆やカッターを用います。道具や材料が少ないため、ネットや一般的なホームセンターなどのお店で購入できるものが多いです。

本漆金継ぎの材料

一方本漆金継ぎは、伝統的な手法を用いているため、昔からある自然の材料のみを使用します。
割れの接着には、小麦粉・水・生漆を使います。漆は手や皮膚につくとカブレることがあるので、必ずゴム手袋をするなどして肌につかないように注意して作業します。

欠けを埋めるには、小麦粉・水・生漆に加えて、木粉(おがくず)や砥粉(砥石を切り出した時に出る粉)、地域によっては地粉を使います。
仕上げる前に何度か漆を塗るのですが、塗り残しのないように色のコントラストをつけるため、黒い漆や弁柄色の漆(朱色のような感じ)を塗ります。
最後に、薄く塗った漆の上に純金粉や本銀粉を蒔いて、金継ぎや銀継ぎになります。

道具は簡易金継ぎに比べて多く、筆、竹へら、プラスチックのヘラ、サンドペーパー、水研ぎ用のペーパー、真綿などがあげられます。

本漆・簡易金継ぎのやり方

簡易金継ぎは本漆金継ぎに比べ、かなり簡略化した短いステップで完成します。
・割れたものをくっつけて、金色の液体を塗るだけ。
・欠けたものを埋めて、金色の液体を塗るだけ。 …簡単にいうと、ただそれだけです。

一方、本漆金継ぎは、最低でも5工程あります。
①割れを接着する工程
②欠けを埋める工程(一度に埋めると漆が固まらないので、少しずつ日を分けて埋め足していく)
③小さな凹凸を埋める工程(錆漆)
④黒漆を塗る工程 
⑤弁柄漆を塗って金粉を蒔く仕上げの工程

各工程の後に、金継ぎ中の器を【漆風呂】に入れて、1日以上おかなければいけないのもポイントです。
最後に金粉を蒔く工程は、最も感動する瞬間です!金継ぎは、室町時代に流行した蒔絵の技術を、漆を使った器の修理に利用されて大成したものなのです。

手間暇をかける伝統的なプロセスを楽しみたい方、お時間に余裕のある方、口に触れるものなのできちんと直したい方、などが向いていると思います。

金継ぎのお直しにかかる値段

簡易金継ぎと本漆金継ぎでは、かかる料金も変わります。簡易金継ぎの方が短期間で少ない工程でできる分、価格も5000円位かそれ以下と、安いです。1日ワークショップも、大体5000円前後で開催されています。

一方本漆金継ぎは手間暇がかかり、純金を使うこともあり、値段は高いです。
全ての材料が揃った、自分で自宅でできるキットも8000円〜2万円くらいで販売されていますし、お教室も1講座6000円前後が多いです。最低5工程あり1講座では完結しないため、たくさん割れ・欠けた器を持ってきて並行して金継ぎするとお得です。
1回で終わってしまうなんて、ちょっと早すぎる!もっと深い伝統を楽しみたい!という方には、奥が深くて素敵な趣味になるのが、伝統金継ぎです。

食器に金継ぎした時の安全性

主婦の皆様が最も懸念されているのが、お直しした後の食品への安全性ではないでしょうか。
簡易金継ぎは合成接着剤やエポキシ樹脂など、工業用品を使用しているため、ほとんどの材料は食品安全法を通っていません。
中には、販売会社独自のX線テストで、危険な物質が入っていないことを確認したと書いてあるものもありますが、製薬会社の治験マネージャー出身の私としては、ちょっと謎です。
しかも、こういった表記は小さく隅の方に気づかないくらいにしか書かれていないので、少し情報の案内不足ではないかな?と思ったりもします。

金継ぎの多くは、食器に行うと思いますので、せっかく直した後に気持ちよく使用できるかも検討した上で、どちらの金継ぎをするか選ばれるのが良いと思います。もちろん、金継ぎした部分を舐めるわけではなければ、ちょっとくらい簡易金継ぎしてても気にしない、という方もいらっしゃいますので人によって受け止め方はさまざまです。

その点、本漆金継ぎで用いる材料は全て自然のもので、室町時代など古くから入手できたものなので、漆器同様、堂々と食器に使用することができます。

金継ぎ修理箇所の耐久性

金継ぎをした部分が後で取れちゃった!というのは、よく聞く話です。ここで、簡易金継ぎと本漆金継ぎで、耐久性に違いがあるかについて、個人的見解を述べさせていただきます。なぜ個人的見解なのかというと、私自身が同じ器に対しての比較試験を行ったわけではないためです。

しかし、これまで金継ぎの修理依頼を多く請け負ってきまして、その中で「簡易金継ぎをしたのを外して、本漆金継ぎでやり直して欲しい」という依頼が多く、簡易金継ぎによる修繕を外すことを毎日頑張っている経験が豊富なため、ご紹介いたします。

割れの接着と欠けの埋め

本当に個人的な見解で言いますと簡易金継ぎの方が少し耐久性が高いかな、といった感じです。特に、土物のざらざらした物の割れを合成接着剤でくっつけると、もう2度とそこは離れないんじゃないか、というくらい強固にくっついている感じがします。

しかし磁器の割れの簡易金継ぎの接着は、お湯に浸しておくと、ぱかっとハズれます。合成接着剤はがしの液体またはジェル(アセトンが主成分)よりも、お湯に浸しておく方が楽に外せる気がします。漆で接着した器も、もう一度外したければぐつぐつお湯で煮るのが良いのですが、漆は耐熱性もあるため、何ヶ月も置いておくとどんどん強固になっていくため、早いうちは外しやすくても、だんだん難しくなってきます。

欠けについてですが、カッターで切り込みを入れると、簡易金継ぎのエポキシや合成樹脂は、ぐにゅっと貫通して、えぐり取ることが可能です。一方、漆で固めた表面は硬いので、ぐにゅっと切り込みは入りづらいです。カッターでも頑張りつつ、荒めのサンドペーパーで研いで表面を取ることができます。

(↑簡易金継ぎを外そうとしているところ)

金継ぎの見た目による違い

簡易金継ぎでよく使う代用金粉や真鍮は、銅と亜鉛の混合物質です。それ以外のものも入っていることがあるので、メーカーに問い合わせた方が良いです。特に銅は錆びやすいので、一定期間経つと、簡易金継ぎの表面は黒く変色してきます。

一方、純金は最も錆びにくく変色しにくいので、お値段はかかりますが綺麗な見た目が続きます。じゃあ簡易金継ぎでも純金を使ったらいいじゃない?!と思うかもしれませんが新漆に金粉を練り込むということは、結構大量の金粉を使うので、すごく高くなると思います。。。
ただし、金粉も使用して擦れていくと、その分金粉がすり減っていって、下地が見えてくることもあります

器を洗うときは、簡易金継ぎも本漆金継ぎも、優しく洗いましょう。
あと、簡易金継ぎでは、割れ面をにゅるにゅると盛り気味に直すのが流行っているようです。金継ぎ部分を盛ると、スポンジで洗った時にその部分がつっかかるので、取れやすい原因になります。

本漆金継ぎではいかにピターっと、もとの器と同じ高さの表面に、平にするかに命をかけて下地をつくります。この、真っ平ら感が、最後の金粉をピカッと輝かせてくれて、美しい!!!となるわけです。おそらく、本漆金継ぎをやっている人が簡易金継ぎを見ると、「何この汚いにゅるにゅるは!!」と思ってしまうわけです。

決してけなしているわけではなく、美的センスが大きく違うな、と思います。

金継ぎ修理依頼

簡易金継ぎも本漆金継ぎも、プロの修理師さんがいます!数としては本漆金継ぎの専門家が多いように思います(昔から漆芸をされてきた職人さんが主体)昨今の金継ぎブームで、修理師さんの数は増えていると思います!(副業の方が多いと思いますが)

簡易金継ぎの方が、修理依頼は安くて納期も早いです。ご自身で金継ぎする時間がない方や、大切なものなのでプロに任せたい方は上記のポイントから簡易金継ぎと本漆金継ぎのどちらが良いか選んで、修理依頼してみるのもいいですね!

お近くに金継ぎ職人さんがいれば、割れたお皿を持ち込んで修理をお願いすることができますが、大変まれですので、多くの場合は郵送でのお届けになると思います。修理代金と送料を負担することになりますが、全国の職人さんから信頼できるお気に入りの方を見つけて、大切な器のかかりつけ医にするが安心です◎

どの職人さんに依頼して良いかわからない!という方には全国の本漆金継ぎの職人さん10名以上を集めた、日本初・世界初のオンラインマッチングプラットフォーム「つぐつぐ」もあります。
自分の器の破損だといくらくらいかかるのかなぁ・・・と悩まれている時に、お試しください♪ぜひスマートフォンやPCから無料会員登録の上、職人さんに直接お見積もりを依頼してみてくださいね!!!

【つぐつぐのサイトはこちら】

簡易金継ぎと本漆金継ぎは、敵同士ではない

最後に、つぶやかせてください(笑)よく、「あなたは簡易金継ぎ派?伝統金継ぎ派?どっち?!」という質問を受けるのですが、私は、事業としては伝統金継ぎ専門でやっていますが、どちらかを蹴落としてどちらかを上げるようなことはしたくないのです。

伝統金継ぎは神秘的で素敵!と思ってこの業界にのめり込んだのですが、私がもともと金継ぎを知ったのは簡易金継ぎを通してで、今は簡易金継ぎのおかげで、敷居の高かった金継ぎがここまで一般に浸透し、ブームにまでなり!!それぞれの方のニーズによって、最適だと思われる方を選ぶのが良いのではないでしょうか^^多分私が簡易金継ぎを本気でやったら、日本で一番美しい簡易金継ぎができる!!とまで自負しています(笑)

それは置いておいて、、、
ちょっとハンディの多い漆を使った金継ぎを、なんとか一般の方でもできるように、試行錯誤して、そこに価値を見出すのが楽しいので、今の方向性で伝統金継ぎオンリーでやっています。
私は、細ーいラインに、ピターっとはりつくような平な下地の金継ぎが、どうも美しく見えてならないのです。たぶん簡易金継ぎでも、できると思いますが(私なら)あえて、扱いが難しい漆を使ってそれができたときの、達成感!!!!これを、できるだけ多くの人に味わってほしいなーと(○´ω`○)

サッカーも、ハンド使えちゃうようななんでもアリだと面白くないから、足だけで頑張ってる選手カッコイー!みたいな(笑)…マニアックな例えですいません。そして、衰退してきている漆工芸の産業を、日本の老舗の漆やさんから購入することで少しでも日本の伝統文化が活性化すればよいなと思っています^^

本漆金継ぎの中で、通販で一番売れている金継ぎキット「つぐキット」

金継ぎブームによって、最近は多くの個人や会社が金継ぎキット・セットを販売するようになりました。
実はYukiは、1年前の2020年5月に始めて金継ぎキットを商品開発して販売しはじめたのですが、2021年の1月には、アマゾン・楽天・ヤフーで金継ぎキットの中でトップのご注文をいただけるほど、お客様からご好評いただいております!

これまでの金継ぎキットになかった、おしゃれなデザインと場所を取らないコンパクトサイズが、好評のようです^^(「手元に商品が届いた途端、気分があがります!」というお声を多数いただいております)
金継ぎは自分で自宅でできてしまう今、それでも先生から直接習いたい!というお声にお応えするべく
2020年12月から東京四谷で金継ぎ教室を開講し、
2021年2月には東京広尾に金継ぎ教室の店舗で、皆様に金継ぎの魅力を広めています!!!

https://youtu.be/nCPb5aM7X_0

しかし、東京郊外の方やお時間が合わない方は通えないため、4月よりZoomを使ったオンライン教室を開始し、日本全国どなた様でも先生に質問できる仕組みをつくりました!!!(海外にいる日本人の方も受講してくださっています^^)金継ぎファンの全てのニーズに150%の満足度でお応えできるよう頑張っています!!!

金継ぎキット専門店「つぐつぐ」とは?

つぐキットを販売する店名を
金継ぎ・金継ぎキット専門店「つぐつぐ」
Traditional Kintsugi Shop TSUGUTSUGU

という名前に決定いたしました!!!

そしてロゴも作りましたよ^^(お教室のロゴとすごく似ているが。)

現在、ありがたいことに、アマゾン・楽天・ヤフーで、お客様からも、時にご指摘をいただきながらも、星4.5以上の全体的に大変良いレビューをいただいており(2021.5.5時点)感謝してもしきれません。

実は現在、手順書をもっと見やすく、詳しくして欲しいというご要望にお答えするため、手順書のページ数を4ページ増やして、シンプルさは残しつつも、つまずきやすいポイントを徹底解説し、ヒビについての特別な説明も追加し、写真もプロによるわかりやすく大きなものに改訂する作業中です!!!(※追記:2021年8月、完成しました)

さらには、オンライン教室で、コロナ禍でも皆様とつながりを絶やさずサポートさせていただいております!!!
器を継ぎながら、人と人をつなぐ。
今後も、一人でも多くの方に満足していただけるよう、やりたいことは山ほどあるのですが、一つずつ頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします^^

以上、Yukiでした♪

]]>

関連記事一覧

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP