みなさま、こんにちは。金継ぎストのYukiです。
金継ぎには魅力がたくさんありますが、一方で「漆によるかぶれ(接触性皮膚炎)」のリスクもあります。
この記事では、私自身が体験した「漆によるかぶれ」の約2週間の経過を、経過写真とともに振り返ります。ただし、あくまで体験談としてご紹介するものですので、ご自身が該当する場合は専門医(皮膚科など)にご相談されることを強くおすすめします。
金継ぎの漆かぶれ体験1日目(手首にかゆみが出はじめた日)





ある2月中旬の朝、手首にむず痒さを感じました。そのときの写真を撮影しています。
このとき、ちょうど東京金継ぎ教室 つぐつぐの1号店を恵比寿(広尾)にオープンしたり、テレビ取材が入ったりで大忙し。夜な夜な、終電を逃すぐらい金継ぎをしていました。
今回は2回目の漆かぶれです。以前は暑さで汗をかくような夏にかぶれましたが、冬に、もう一度かぶれを経験するとは思っておらず、油断していました。
私自身の観察では、皮膚が比較的薄い部分(手首など)にかぶれが出やすいと感じています。今回も前回と同じく、親指の付け根にも小さなぶつぶつを感じました。
(この記録はあくまで私個人の体験です)
金継ぎの漆かぶれ体験3日目(ぶつぶつが広がってきた)



2日目は写真がありませんが、3日目にはぶつぶつが徐々に広がってきました。手首だけでなく、手の甲側まで波及したように感じます。かゆみも強まりました。
(各日の変化には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験4日目の朝(赤い紅斑が目立つように)












なんだかたくさん写真をとってしまいました。これまでぶつぶつだったのが、赤い紅斑のようになって、いよいよかぶれ真っ盛りです。かゆい+少し痛い。
いやー!!
金継ぎの漆かぶれ体験4日目の昼(皮膚科で外用薬を再処方)



おやつ食べてる場合じゃないですが(笑)かゆいです!醜いです!!!
専門医にあらためて診ていただくべきところを怠り、この日は、以前皮膚科で処方されたステロイド外用剤(軟膏タイプ)を使いました。ただし、薬剤名や使用量などは個人処方に基づくものであり、他の方に同じように使うことを推奨するものではありません。
(ステロイド外用剤は用法・用量を守らないと副作用が出る可能性もありますので、専門医の指示に従うことが大切です)
何日で治るかな? (´·ω·`)
金継ぎの漆かぶれ体験6日目の朝(改善は感じられず かゆみも続く)







(5日目の写真を撮るのを忘れました)
ステロイド外用剤を塗布し始めてから3日ほど経ちましたが、私の場合はこの時点で目立った改善はまだ感じられませんでした。赤みやかゆみは続いており、日によって強さに波があります。
処方された軟膏は、医師から指示された頻度(1日2〜3回)で使用していました。かぶれの範囲が広がっている様子はなく、現状維持という印象でした。
(※あくまで私の体験に基づいた記録です。症状の進行や回復のスピードには個人差がありますので、不安な場合は医師にご相談ください)
金継ぎの漆かぶれ体験6日目の夜(漆が再び肌についてしまう)



この日、あらためて皮膚科を受診しました。これまで使っていたのは軟膏タイプのステロイド外用剤でしたが、範囲が広く塗りにくかったため、今回はクリームタイプを処方していただきました。
クリームタイプは軟膏ほどの保湿感はありませんが、比較的薄く広げやすいと感じました。※薬剤の選択や使い方は個人の症状によって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
職業柄、作業を完全に休むことは難しく、日々の仕事の中でどうしても漆に触れる場面が生じます。ふと気づくと、親指に黒く漆がついてしまっていたこともありました。石鹸や菜種油などで洗っても完全には落ちず、日々の注意が必要だと感じます。
私の場合、漆が皮膚の弱い部分についてしまったことが、かぶれの一因になったのかもしれません。漆に直接触れないことが大前提ですが、万が一手についてしまった場合は、すぐに油(菜種油など)でやさしく拭き取り、その後石鹸と水で丁寧に洗うように心がけています。
(※あくまで私自身の体験をもとにした内容です。かぶれや皮膚炎の症状がある場合は、医師の診断を受けてください)
金継ぎの漆かぶれ体験7日目(少しだけ症状が落ち着いたように)





かゆみはまだ続いていますが、時間帯によっては少し症状が落ち着いているように感じることもあります。赤みがやや暗い色になってきた部分もあり、少しずつ変化が見られます。
私の場合、熱めのシャワーを避けると、朝は比較的落ち着いているように感じました。ただ、広範囲にわたっているため、服との摩擦で不快に感じることもあります。
完全に回復するまでには時間がかかるようなので、無理をせず、焦らず様子を見ることが大切だと実感しています。
(※この内容はあくまで個人の体験に基づいたものであり、症状や経過には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験8日目(お風呂上がりにかゆみと熱感)







今回は少しリアルな経過写真が多くて、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。私自身、掲載するのに少し勇気がいりましたが、こうした情報がどなたかの参考になればという思いで公開しています。
時間帯によって、かゆみの強さに差を感じます。特にお風呂上がりなどは、肌が熱をもってかゆくなることがありました。私自身の感覚では、冷やすと少し楽になるように感じた場面もありましたが、これはあくまで個人の感想です。
最初は手首だけだったのが、気づくと肘の裏側まで広がっており、自分でも驚きました。少しでも早く跡が目立たなくなることを願っています。
金継ぎの漆かぶれ体験9日目(赤みが和らいできた気がする)




昨日は赤みと熱感のあった紅斑ですが、今朝は少し穏やかに感じました。時間帯によるものかもしれませんが、炎症の赤みが少し落ち着いたように見えます。
あくまで私の感覚ですが、少しずつ症状が軽くなってきているように感じており、改善の兆しが見えてきたのではと期待しています。
金継ぎの漆かぶれ体験10日目(ふくらみが減り、赤みも少し軽減)









ステロイド外用剤を使い始めてから約1週間が経ちました。私の場合、症状が少しずつ落ち着いてきたように感じています。一部にはまだ赤みが残っているものの、以前より肌のふくらみが減ってきた印象です。
かゆみも、少しずつ和らいできているように思います。最初に出た発疹のエリアよりも、途中から広がった皮膚の薄い部分の赤みのほうが、やや長引いているように見えます。
まだ完全ではありませんが、引き続き医師の指示に従って、外用薬の使用を続けながら様子を見ています。
(※この内容はあくまで私個人の体験に基づくものであり、症状の経過には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験11日目(ぶつぶつと赤みがさらに縮小)





広がっていた赤みが、少しずつ範囲が小さくなってきました。肌の表面にあったぶつぶつのような部分も、時間とともに少しずつ落ち着いてきています。
朝の時間帯は、特に穏やかに感じることが多く、かゆみもだんだん和らいできました。ただ、まだ見た目に赤みが残っているため、自分でも少し気になってしまうことがあります。
(※症状の変化には個人差があり、体験談としてお読みください)
金継ぎの漆かぶれ体験12日目(赤みが落ち着いてきた夜の様子)



夜、お風呂上がりに撮影したものです。体が温まって血流がよくなると、赤みが強く見えることがあるように感じました。
それでも、全体としては少しずつ症状が落ち着いてきているように思います。
(※あくまで個人の体験に基づく感想です。症状の見え方や経過には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験13日目(一部に色素が残るがかゆみは軽減)



特に赤みが強かった部分は、まだ赤黒く目立っている箇所がありますが、他の部分は少しずつ灰色っぽい色合いに変化してきました。かゆみも、日に日にやわらいできているように感じます。
以前も漆によるかぶれを経験したことがあり、そのときは跡が残らずに治りました。今回も、皮膚の薄い部分に出た症状ではありますが、時間とともに自然に消えていってくれることを願っています。
(※あくまで私個人の体験による感想です。症状の経過や回復には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験14日目(日常生活にほぼ支障のない状態へ)




漆によるかぶれが出てから、ちょうど2週間が経ちました。
完全に赤みが引いたわけではありませんが、日常生活には支障がない程度まで回復してきたように思います。
この間の経過は、自分にとってある意味「勲章」のような記録にもなりました。とはいえ、やはり早くきれいに治ってくれることを願っています。
(※本記事の内容は、あくまで筆者の体験に基づくものです。症状の進行や回復には個人差があります)
金継ぎの漆かぶれ体験15日目(かゆみは消え 色だけ少し残る)



見た目としては、特に赤みが強く出ていた部分に、まだ色の残りが見られます。ただ、かゆみはほとんど感じなくなってきました。
このまま順調にいけば、あと1ヶ月ほどで目立たなくなっていくのではないかと期待しています。
(※あくまで筆者の体験に基づく感想です。症状の経過や回復のスピードには個人差があります)
漆かぶれの経過まとめ(私の体験と回復までの流れ)
今回体験した漆によるかぶれは、私にとっても初期の赤みやかゆみがかなり強く、不安を感じるものでした。
自分自身の観察になりますが、症状のピークは1週間ほど経った頃だったように感じます。その後、9〜10日目あたりから赤みやかゆみが少しずつ和らぎ、2週間が過ぎる頃には、日常生活に大きな支障を感じない程度に落ち着いてきました。
この記事を書いているのは、かぶれの発症から約4ヶ月が経った時点ですが、私の場合は3ヶ月後には肌の跡もほとんど気にならなくなっていました。
(※本記事の内容はすべて筆者の個人的な体験に基づいており、症状や回復のスピードには個人差があります。ご自身の症状に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診してください)
漆かぶれに関する体験談と印象に残ったエピソード(医療機関受診時)
私はこれまでに2回、漆によるかぶれを経験し、そのたびに皮膚科を受診しました。夏と冬、それぞれ症状の出方が異なり、漆との付き合いの難しさを実感しています。
都内の皮膚科では、漆かぶれの患者が珍しかったのか、診察の際に「虫刺されか、何かに触れたのでは?」と言われることもありました。「漆によるかぶれです」と伝えると、少し驚かれた様子でしたが、最終的には「外因性の皮膚炎」と診断されました。
その際、医師の判断によりステロイド外用剤が処方されました。私の場合は、範囲が広かったためクリームタイプが使いやすく感じましたが、薬剤の種類や塗布方法は人によって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
また、「漆に慣れると、かぶれにくくなる」といった話を聞くこともありますが、私自身はそう実感したことはありません。ある職人さんも「長年扱っていても、いまだにかぶれることがある」とおっしゃっていたのが印象的でした。
漆かぶれを防ぐために、私が金継ぎ中に意識していること
漆によるかぶれを防ぐには、まず第一に「漆に触れないこと」、そして「皮膚に付けないこと」が基本です。もし万が一、肌に漆が付いてしまったと感じたら、できるだけ早く拭き取り、洗い流すことが大切です。
私の経験では、漆は作業中にまず指先につきやすく、それに気づかずに触れた皮膚の薄い部分に、あとからかぶれが出ることがありました。
今回ご紹介したのは、手首や腕のかぶれですが、実は腰のあたりにも発症してしまいました。おそらく、作業後に無意識のうちに手が触れていたのだと思います。身体の皮膚が薄い部位は、特に注意が必要です。
もし手に漆が付着したと感じた場合は、私自身は以下のような手順で対応しています:
- 菜種油やキャノーラ油(なければサラダ油やオリーブオイル)を少量取り、皮膚についた漆を浮かせてティッシュでやさしく完全に拭き取る
- その後、石鹸と水で丁寧に洗い流す
また、刻苧(こくそ)をサンドペーパーで研いだ後の粉が皮膚に残っていると、それがかぶれの原因になる場合もあるように感じました。作業後は、机や腕まわりをしっかり拭き取ることも、予防の一つだと考えています。
なお、漆が皮膚に付いたからといって、必ずすぐにかぶれが出るとは限りません。油断は禁物ですが、必要以上に怖がることなく、基本的な対策を意識していただければ、安心して金継ぎを楽しんでいただけると思います。
こんにちは。
お写真拝見させて頂きました。とても丁寧に解説されていて『一緒だ〜』となりました。
私は庭のスモークツリーの剪定でかぶれたようです。
免疫を下げる抗がん剤でリウマチ治療を始めてからかぶれるようになりました。
私はアロエを塗って治しています。
とても参考になりました。
素敵なお仕事ですね。
免疫力アップして、完全防備でお仕事頑張って下さいませ
コメントありがとうございます!
金継ぎをしていたらきっと同じように被れる方がいるだろうな・・・と思い、どうなるか知っておくと逆に共感というか安心(?!)していただけるかと思い、実録を書かせていただきました。
漆以外の草木でも、同様のことが起きるのですね。
ステロイドを塗ると多少早く治るとは思いますが、アロエなど自然のもので直すのが一番ですね。
免疫力を高めて、防御もしつつ、元気に金継ぎしたいと思います!
昨日、金継ぎのお教室に行って、手袋忘れてましたそれが心配で「漆かぶれ」で検索!
初めてのお教室の時も酷い被れになり、家にあったステロイド剤を塗り塗り。塗ってもあまり経過は変わらず、2週間程で治りました。
今回も手袋をしていないと気づいた時点で慌てて洗ったけど、多分、皮膚がモジョモジョするので被れが出来ると思います…。でも金継ぎ楽しくて、止められないので、防御を確実にしながら楽しもうと思います。参考になりました!ありがとうございます