2024年9月15日から22日に開催された「つぐつぐ金継ぎ作品展2024」には、大勢の方にお越しいただきました。この金継ぎ作品展には100点を超える金継ぎ作品が並び、その大半は初心者から金継ぎを学び始めた生徒様の作品で、他には職人さんとつぐつぐの講師たちの作品が展示されました。今回は金継ぎ教室つぐつぐの生徒様が初めて作品を公に披露した作品展で、日々の金継ぎの成果を家族や友人、そして一般の方々に見てもらえたことが大きな喜びでした。
この記事では、初心者から金継ぎを始めたつぐつぐの生徒様が主役となって展示した、金継ぎ作品展2024の開催結果と、今後についてご紹介します。
金継ぎ作品展2024とは?
金継ぎ作品展2024は合計6日間にわたり、100点以上の金継ぎ作品・漆芸作品が展示される会でした。会期中は出展者だけでなく、プロ金継ぎ師やその関係者が来場者に金継ぎの説明をし、魅力を伝えるイベントでした。他にも面白い試みが行われましたので、以下にご紹介します。
・金継ぎ作品のプロ写真家による撮影
金継ぎ作品展の会期中、プロの撮影家をお呼びし、出展者の作品を一つ一つ撮影いただきました。後日、出展者の皆様に、ご自身の作品の写真データを無料でプレゼントし、大変喜ばれました。その後、金継ぎ作品展写真集の冊子を作成し、こちらも出展者に無料でプレゼント。どのような作品があったのか振り返りと、惜しくも会期中に来れなかった方に見ていただけるよう、つぐつぐの金継ぎ教室(恵比寿・浅草)で掲示しています。
・金スタライブ(インスタライブ & YouTubeライブ)
つぐつぐが毎週行っている大好評の金スタライブ(インスタライブ・YouTubeライブ)を、金継ぎ作品展の中で実施しました。他にも金継ぎ作品展の様子を定期的に写真投稿やライブ配信したり、SNSで投稿しました。視聴者様もリアルタイムで質問ができる形式にし、オンラインで展示を見ている方とも交流を図りました。「この作品、すごい!どうやって作ったの?」という質疑応答も行われました。オンラインを通して、金継ぎ作品展に来られない遠方にお住まいのファンの方々にも、金継ぎ作品展の様子を伝え、コミュニティの広がりを感じてもらう機会となりました。
・お茶 × 金継ぎ
金継ぎは千利休の時代から始まった茶道と切っては切れない関係にあります。最終日には、茶道をされている生徒様が、来場者に本格的なお茶を振る舞い、初めて会った来場者も含めて一期一会でお茶を楽しむ場面が見られました。最終日は満員となり、非常に良いコミュニティが生まれました。今まで同じ教室にいても話す機会がなかった生徒様同士がこの機会に親しくなり、新しいつながりが生まれたことは、この金継ぎ作品展の最も大きな成果の一つだと思っています。
・金継ぎ作品展最終日 出展者の打ち上げパーティー
最終日にはお茶が振る舞われただけでなく、お菓子やソフトドリンクも提供され、生徒様と講師たちが交流し、金継ぎへの情熱や技術についての意見交換が行われました。
金継ぎ作品展 参加者の声と満足度
2024年の作品展では、出展者、家族、友人、一般の来場者が多数訪れ、金継ぎの美しさと技術に感動しました。アンケートには多くの感謝の声が寄せられ、金継ぎ教の魅力が再確認されました。
「来年は自分も参加したい!」という声も多く聞かれ、すでに次回の作品展に向けて新たな目標を掲げた生徒様が多くいました。
一方、今回の出展を見送った生徒様は、自分の技術がまだ不十分と感じていていたことが、大きな理由でした。しかし金継ぎ作品展に展示されている他の生徒様の作品を見て、「初心者の自分でも出展していいんだ!」という自信が得られ、「来年こそ参加したい」と感じていただけたことは非常に嬉しいことです。
また、作品展には金継ぎの歴史・哲学・手法についての説明ポスターの掲示や、手順動画が流れており、まったく知識のない方でも金継ぎの理解を深める場にもなりました。多くの来場者から「金継ぎの魅力に改めて気づいた」「自分も挑戦してみたい」といった声が寄せられました。そしてなんと、この金継ぎ作品展期間中に訪れた方が、新たにつぐつぐ金継ぎ教室の入会を果たしました!
・金継ぎ作品展 参加者の声(アンケートの結果から抜粋)
- 出展者の知り合い(50代・女性):「素敵な金継ぎ作品展を教えていただきありがとうございました。一つ世界が広がりました。」
- 出展者の友人(30代・男性):「作品、どれも素敵でした!途中経過を見せてもらった花瓶がきれいになっていて、感動しました。」
- 出展者(40代・女性):「ガラス作品が印象的でした。自分ではやったことがないので、とても参考になりました。」
この金継ぎ作品展2024は、つぐつぐの金継ぎ教室の生徒様のご意見から実現しました。金継ぎ教室は技術を学ぶだけでなく、お互い刺激し合い、コミュニティとしての絆を深める場でもあります。出展した生徒様にとって、他の作品からインスピレーションを得たり、今後の制作への意欲を高めたりする良い機会となったことを、嬉しく思っています。
・印象に残った作品(アンケートの結果から)
展示された金継ぎ・漆芸作品は、漆を使った伝統技法と現代的感性が融合し、ユニークな作品が多く見られました。特に質問が多かった・人気が高かった作品を紹介します。
①メタリック金継ぎ
▲ 色がメタリックに変化する色漆で仕上げた作品:「どうやってこんな風に金継ぎできるの?」と最も質問が多かった、生徒様による作品です。基礎的な金継ぎの枠を超えて、ご自身でいろいろな試行錯誤を重ね、今まで見たことのない金継ぎ作品が出来上がっていました。
②ガラス金継ぎ
▲ ガラス金継ぎ作品:陶磁器の金継ぎに比べて、難易度が非常に高いガラスの修復。透明感と漆の光沢、金粉の美しさが来場者を魅了しました。
③呼び継ぎ
▲ 呼び継ぎ:同じ器の破片同士ではなく、異なる破片(今回はガラス片)を繋いで新たな芸術に昇華していました。器の欠けた部分にピッタリ合う破片を見つけるのは難しく、非常に高度な技です。呼び継ぎは、比喩的に、人間関係や人生における同盟・仲直り、そして新しい視点や価値観を融合させることに例えられることがあります。
④卵殻(らんかく)
▲ 卵殻:漆はもともと茶色いので、真っ白の仕上げができません。そこで卵殻(らんかく)という技法は、漆芸の中でも特別な技術で、卵の殻を使って模様を作る技法です。とても細かい作業で、独特の美しい模様や質感を生み出します。
⑤漆塗り
▲ 表面が禿げていた瓢箪(ひょうたん)に漆を塗り、金の蒔絵を施し、新たな作品として蘇りました。
⑥鏡
▲ 鏡を使った展示で、金継ぎ作品の世界観を演出しました。表だけでなく、見えない裏も一生懸命仕上げたんです!
⑦金継ぎ器を販売
▲ 作成した金継ぎ器を販売することにチャレンジしました。生徒さんながらプロ級の腕前です。
⑧蒔絵金継ぎ・螺鈿
▲ 講師・職人さんの作品。蒔絵が施された湯呑みは蒔絵技法と金継ぎが融合され、印象に残ったとの声が多くよせられました。
⑨紙に漆
▲ 無印良品の紙のティッシュボックスがゴージャスな漆芸作品に(講師作品)。身近なものに漆を塗るというアイデアも面白く、紙に和紙を貼り漆を何度も塗り重ねて、最後に蒔絵をして仕上げました。この他にも、パステルカラーの色漆で仕上げた作品もあり、伝統という漆の概念を一新し、現代にも受け入れられる作品もありました。
つぐつぐ金継ぎ作品展は来年もあるの?
アンケート結果では、ほぼ全ての来場者が「来年もぜひ参加したい」と答えており、この金継ぎ作品展が好評だったことから、来年の同時期にも開催を決定しました!
今回は金継ぎ教室つぐつぐの本店である恵比寿で行いましたが、、次回の展示会は、2025年に浅草店(金継ぎ教室つぐつぐの2号店)近くでの開催を検討しています。今回いただいたフィードバックをもとに、来年はさらに充実した金継ぎ作品展を目指し、準備を進めていく予定です。
もっと楽しめる金継ぎ作品展に!来年の企画(改善点)
今年のつぐつぐ金継ぎ作品展でいただいたフィードバックは、来年の展示会をより良いものにするためにしっかりと受け止めたいと思います。具体的には、以下のポイントで改善を計画しています。
1. 展示スペースの拡充
多くの参加者から「もっと広々としたスペースで作品をゆっくり鑑賞したい」という意見が寄せられました。これを受けて、来年の展示会では会場のスペースを拡大し、作品ごとの展示エリアを広く取ることで、来場者が作品をじっくり楽しめるようにしたいと思っています。壁も、作品あるいは学びのコンテンツに利用したいと思います。また、作品の配置も工夫し、見やすさを向上させる予定です。
2. 交流・体験の機会の増加
最終日の懇親会やお茶の振る舞いなど、出展者や来場者同士が交流できる場が好評でした。来年も、出展者や講師とリラックスした雰囲気の中で交流できる場を作りたいと思います。これにより、教室に通う生徒同士の親睦が深まり、新しい出会いや学びの機会が生まれます。来年は展示期間中にさらに多くの交流イベントを企画し、生徒同士や講師、職人とのつながりを深める場を提供したいと考えています。可能であれば、一般の来場者様が気軽に参加できるワークショップも行いたいです。
3. オンライン参加の充実
遠方の方や日程の都合が合わない方から「オンラインでも参加したい」という声が寄せられました。これを踏まえ、来年もオンライン配信を充実させ、金継ぎ作品展の様子をインスタライブ・YouTubeライブなどでお届けしたいと思います。
4. 展示作品の多様化
「講師の作品をもっと見たい」というご意見がありました。これを踏まえ、金継ぎ指導や修理で忙しい講師ですが、合間を縫って新しい作品制作を開始したいと思います。つぐつぐの金継ぎ作品展のテーマの一つに「金継ぎを身近に!」という言葉があります。美しくてすごい技術があっても、それが生活と程遠いものだと、ただの美術品となり、手がでない、ただ眺めるだけのものになってしまいます。それでは意味がないと思っています。そこでつぐつぐでは、いかに身近に漆を取り入れるか?について、日々考えています。来年も来場者のみなさまを「あっ」と言わせる作品を作りたいと思います。より幅広い技術や芸術を紹介できる展示会を目指します。
5. 講師と職人によるデモンストレーション
熟練した講師や職人による金継ぎや漆芸のデモンストレーションは、来年も継続して行いたいと思います。実際にその場で作品を修復する過程を見学でき、伝統技術の詳細な手順や道具の使い方を学べる貴重な機会になると思います。
「つぐつぐ金継ぎ作品展2024」結果まとめ
つぐつぐの金継ぎ作品展は単に技術を披露する場だけでなく、学びと交流を深めるイベントとしてとても盛況に終わりました。来年はさらに魅力的なものになることを目指して企画していきますので、ぜひ楽しみにしてください!
つぐつぐはみなさんの身近にある、伝統技術の金継ぎ工房です。ちょっとでも金継ぎに興味を持ってくださった方がいましたら、お気軽にお問い合わせください。1時間だけ体験するワークショップ、毎週通って教えてもらいながら完成させる金継ぎ教室、自分で好きな時にお家で金継ぎするための金継ぎキット、自分ではできないからプロにお願いしちゃう金継ぎ修理依頼、など、金継ぎの全てのサービスを行っているのが、つぐつぐです。
もし金継ぎにハマったら、あなたのスキルなんて関係なく、来年の金継ぎ作品展に出展してください。この作品展は、きれいなもの・技術が優れたものを誇示する場所ではなく、長〜い工程の伝統金継ぎを、何度も何度も繰り替えして、想いを込めて完成させた努力の結晶であるあなたの作品を、あなたの身近な人に見てもらえる最高の場所です。
そして最後に、展示会を通じてつぐつぐの活動に興味を持ったメディア関係者の皆様、ぜひ取材のご依頼をいただければ幸いです。つぐつぐは、生徒や講師の絆を深めながら、日本の伝統技術を未来へ伝える役割を果たしています。次回の展示会や教室活動に関する取材やお問い合わせをお待ちしております。
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