kintsugi

つぐつぐで働く金継ぎ師の毎日【金継ぎ経験者・中途採用編】

大学で漆を学んだ後、漆芸を職業として経験し、つぐつぐに入社した中途採用者Cさんのケースをご紹介します。

蒔絵や漆芸をされたことはあっても、金継ぎについては経験がない人が多いですが、金継ぎは漆芸の一部なのでとても関連性が高く、比較的早く業務を覚えて第一線で活躍することができます。

大学で漆を学び、輪島で蒔絵の仕事をした後、つぐつぐに中途入社したCさん

漆の魅力に惹かれて、大学の4年間で実践を伴って漆を学び、卒業制作では漆塗りのギターを製作しました。在学中に金継ぎも少し経験しました。その後、輪島で蒔絵師として1年ほど仕事をし、実家に近い関東に戻ってきました。

漆を使った仕事があればと思いネットで探していたところ、つぐつぐの求人を見つけました。職人技の仕事なのに、女性の多い仲の良い雰囲気で、実家から通える場所で安心感がありました。

つぐつぐ入社から金継ぎ師としてデビューするまでの道のり

つぐつぐはコロナ禍の2021年2月に初の店舗となる恵比寿本店をオープン。そして翌年の2022年5月には、同じ都内ですが東側にある浅草に、浅草店をオープンしました。Bさんは浅草店の新規メンバー募集がちょうど始まった時に応募し、採用されました。

オープン前に採用となったため、最初は恵比寿店で勤務し、翌月から浅草店に配属になりました。

金継ぎ師ポジション入社1ヶ月目

まずはつぐつぐの金継ぎができるように、恵比寿本店で先輩の指導下、みっちりと金継ぎの練習をしました。さすが蒔絵師の仕事をしていただけあって、金継ぎの仕上げはピカイチに上手い!仕上げは文句のつけようがないほど上手かったため、金継ぎの練習をしながらも、初月から「蒔き担当」として、得意な仕事を任されました。逆に、つぐつぐの他の金継ぎ師に蒔絵のポイントを教え、つぐつぐの金継ぎ師全員のレベルが一段上がりました。

しかし、金継ぎは完璧な下地(土台)があってこそ最後の仕上げが成功するため、下地で凸凹があったら全てが台無しになります。仕上げより前の工程を極めなければならず、金継ぎの奥深さを知ります。手作業の仕事がメインでしたが、いずれ浅草展で接客もしなければならないため、つぐつぐでの接客や金継ぎの見積り方法も教わりました。

金継ぎ師ポジション入社2ヶ月目

いよいよ浅草店がオープン!オープン前日から浅草店へ移動し、浅草店では最初は金継ぎ修理を中心に行いました。浅草店配属ではありますが、恵比寿店と情報差がないよう、そしてまだ出会ったことのないような多種多様な破損品を対応できるよう、週1回は恵比寿店に通って情報共有と指導を受けていました。

経験者だけあって、Cさんは今までの社員の誰より早く技術が身についたため、2ヶ月目から、金継ぎの講師としての特訓が始まりました。恵比寿店で勤務していた初月にも、一度だけ先輩について補助講師を経験しましたが、ここからが本格的な特訓です。しかし知識と経験が豊富なCさんは、2ヶ月目の後半には金継ぎ教室の先生としてデビューすることになりました。つぐつぐ史上、最速かもしれません。

Cさんは漆芸経験者のため、漆のことをよく知っていて、金継ぎについても系統立てて理解してきたので、最初から堂々と的確に生徒さんに教えていました。金継ぎのつまづきポイントもよく把握していて、生徒さんの質問に対し、しっかりと回答していました。

実際のところ、最初はとても緊張していたそうですが、浅草店オープン当初は生徒数が少なく、ほぼマンツーマンで丁寧に教えることができたのが、講師業務に慣れるためにちょうどよかったそうです。

金継ぎ師ポジション入社3ヶ月目

金継ぎ教室講師としての業務が増えていき、1週間に教室を6コマ担当するようになりました。そして浅草店には、これまでは社長が常駐していましたが、ある日、社長が出張3日間出張のため、初めて社長がいない状態で店舗の番をすることになりました。不安もありましたが、難なく店番ができ、自信に繋がりました。

日が経つにつれて浅草店の金継ぎ教室の生徒数が増えていきました。生徒さんはどの先生のクラスを受けてもよいため、前回どのような作業をしたか、先生同士で共有しておく必要がありました。そのため生徒さんの金継ぎ記録帳を作成した方がよいのでは、と浅草店メンバーの間で発案があり、すぐに実現しました。この記録帳がなかったときは、前回担当した金継ぎ師に直接聞いていたのですが、その金継ぎ師が休みの時はすぐに情報が得られず、あたふたすることもありました。このような基本的な顧客管理もできていなかった時代もあったのですが、Cさん含む浅草店メンバーがいち早く気づいて、浅草店だけでなく恵比寿店にもこの仕組みを広めてくれました。(そのさらに数ヶ月後には、生徒数がさらに増えていき、ノートがいっぱいになってしまったことから、紙のノートではなく、パソコンからシステムに記録するという変遷をたどりました。)

Cさんの1週間のスケジュールとしては、浅草店が休業の月曜日のみ恵比寿店で勤務し、その他の日は浅草店で金継ぎ教室の講師と修理をするという日々が続きました。

金継ぎ師ポジション入社4〜6ヶ月目

蒔絵師として仕事をしていた経験から、金蒔きが的確で早いため、月曜のみ恵比寿に出社し、他の金継ぎ師が中塗りまで作業した器の仕上げの金蒔き担当しました。その他の日は、変わらず浅草店にて勤務するという日々が続きました。

金継ぎ師ポジション入社7ヶ月目

これまでの勤勉な勤務姿勢と業績が評価され、7ヶ月目に正社員になりました!そしてこの頃からコロナが落ち着いてきて、ビザなしで海外から日本に来ることができるようになり、海外からのお客様が来店されることが増えました。

もともと、日本に長期お住まいの外国人がつぐつぐの店舗に訪れたり金継ぎを習ったりすることは多かったのですが、今後さらに外国人が訪れることが増えると予想し、社員全員一丸となって「金継ぎ師は日本人だけでなく、外国人も一人のお客様として接客する」という目標を大々的に掲げました。そして、つぐつぐ社員全員、英語ができるよう取り組んでいきました。

Cさんは今まで英語を使ったこともなければ学んだこともありませんでした。会社として、オンライン英会話教室の補助の福利厚生がありますが、それを受けずに一人で地道に勉強を始めました。「これ、英語でどういうんだろう」と思ったことを、google翻訳で調べて、一つずつ自分のものにしていきました。浅草という観光地にある店舗のため、突然予告なく外国からのお客様がお越しになることは、よくありました。その時は、身振り手振りを使ったり、社長が用意した写真付き英語の資料を見せて指差しで伝えたりしながら、外国人に金継ぎキットを販売していました。

しかし店頭販売だけでなく、金継ぎを体験したいという海外の方からの大きなニーズがあったため、英語で金継ぎワークショップを行えるようにならなければなりませんでした。さすがに英語で金継ぎワークショップをするときは、一語や二語では説明できないので、学校の暗記のテストのように、スマホにフラッシュカードをインストールして、英文を覚えていきました。たまにgoogle翻訳ではうまく伝わらないフレーズがある時は、社長の俣野と「こういう風に言えば少ない単語で一番伝わるね!」とディスカッションしながら、英語のフレーズを増やして自分のレパートリーを増やしていきました。Cさんの現在のお気に入りのフレーズは「Let me show you how to do it!」です!

そしてある日、社長が近くで見守る中、1名だけの外国人観光客に、Cさん一人で英語で金継ぎワークショップをするという実践を行いました!これを5回以上繰り返し、その翌月には、たくましくも「英語金継ぎ師デビュー」宣言を行いました!

以前は週に一度恵比寿店へ通っていましたが、この頃から恵比寿店には、研修以外はほぼ行くことはなくなりました。月に一度、つぐつぐ社員全員が参加する月例会がありますが、恵比寿店と浅草店はウェブで繋いでコミュニケーションをとっています。毎日の情報伝達・共有事項はSlackというアプリを使って社員間でスマホで連絡し合うことで、店舗が違っても情報格差が起きにくい状態を保っています。

入社から1年10ヶ月経った現在のCさんの1日

Cさんは自宅から店舗まで片道1時間近くかかり、電車の本数が少ないので、絶対に遅れないように朝早い電車に乗ってきて、始業時間の15~20分前には店舗に到着します。朝余裕を持っての出社です。夜残業が多くなりそうな時は、逆に朝1時間半くらい早くに出社して、金継ぎ修理を行ったこともあります。出社したらまずは店舗の掃除を始めます。

金継ぎ教室のある日は受付業務としてお客様を10時ごろに迎え入れます。Cさんが金継ぎ教室の担当講師ではない時は、金継ぎ修理に専念します。10:00〜11:30の90分間の金継ぎ教室の後、30分以内に片付けを行います。

12:00〜13:00ごろに1時間の昼休憩があります。徒歩30秒の近さでコンビニがあるので大抵はコンビニに買いに行きますが、グルメなCさんはインスタで浅草の美味しいお店を見つけて、時折遠出をして昼食を購入します。

昼食後、また金継ぎ修理の続きを行い、午後13:40過ぎから午後の金継ぎ教室(14:00〜15:30)の準備をします。14時前後に生徒さんを迎えます。Cさんが教室の担当講師ではない時は、金継ぎ修理に専念します。

午後になると、突然の来店客も増えます。予約をして金継ぎ修理をご依頼される方には、割れた器の金継ぎ費用の見積もりをします。しかし浅草という観光地のため、突然外国人観光客が訪れ金継ぎキットを購入して行かれる時もあります。つぐつぐには4種類の金継ぎキットがあるので、その違いを、資料を使いながら英語で説明したりします。

16時前には午後の教室が終わりますが、16:00〜17:00に1時間の金継ぎワークショップがある土日は、急いでワークショップの準備のため机を片付けます。Cさんは英語デビューを果たしているので、外国人が1時間の金継ぎワークショップを受ける時は常に担当します。もう一人の社員が英語ができるようになれば、半分ずつ分担できるので、その成長を期待しながら・・・!ワークショップが終わったらすぐに片付けて、残りの時間は金継ぎ修理を続けます。

月に1~2回16:00~18:00に、恵比寿店にて漆芸の研修があります。Cさんは金継ぎ以外にも、漆塗りができるようになりたいので、現在、木の素地に漆を塗って、イチから手作りの漆器を製作中です。

Cさんがつぐつぐで働いていて、楽しいと思うこと

金継ぎを習いにくる生徒さんが喜んでくれた時、自分も嬉しい気持ちになります。

Cさんコメント

金継ぎはとても長い工程があるのですが、生徒さんが器の金継ぎを完成されて感激している姿を見ると、とても嬉しいです。また、プロによる金継ぎ修理を依頼されて、自分が手がけた修理をご返却した時に喜んでもらえるのも嬉しいです。なにより、毎日つぐつぐで仕事として金継ぎをすることで、自分の金継ぎが上手になりました。

今後の目標としては、金継ぎ検定の最上級を取得し、通常の金継ぎだけでなく、卵殻を貼ったり螺鈿を施すような加飾にも挑戦したいです。

最後に

蒔絵師という仕事を経験され、それを十二分に発揮して大活躍のCさん。自分ができることだけでなく、英語というまったく触れたことのなかった分野にも、「国を超えて、一人でも多くのお客様に金継ぎの魅力を伝えたい」という気持ちで真摯に勉強し、できるようになりました。社長としても、驚きの力を見せられ、この人にはできないと決めつけてはいけないなと改めて思いました。

Cさんは現在、後輩の指導・育成を行いながら、浅草店の守護神として活躍しています。後輩を指導することで、今まで以上にしっかりしたなと感じています。

できることを生かし、伸ばしながら、新しいことにもチャレンジしていく。この超競争時代の現代では、今まで通りでは逆に衰退していきます。つぐつぐは変わりゆく環境に対し、変化を恐れず、成長の機会だとポジティブに捉えて、今後も挑戦し続けたいと思いますし、そのような向上心のある方にぜひ入ってきていただきたいと思います!

あわせて読みたい記事

Related Articles

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事

  1. 金継ぎ女子が会社を起こしたきっかけ

  2. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】初見学|プロになるまでにかかる時間と費用?

  3. 【金継ぎピアス・アクセサリー】瞬間接着剤と合成うるしのワークショップ

  4. 【金継ぎピアス・アクセサリー】自分で作ったピアスをつけて会社に出勤する喜び

  5. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】1日目|入会初日は、道具を自分で作る!

  6. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】2日目|陶器・お皿の割れを接着して、欠けを刻苧(こくそ)で埋める方法

  7. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】3日目|欠けた陶器・お皿の割れの窪みにもっと刻苧(こくそ)を埋める方法

  8. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】4日目| 友達の欠けたお皿を金継ぎしてあげよう♪欠けた陶器をもっと埋める方法

  9. 【金継ぎピアス・アクセサリー】東京・新宿の手芸店「貴和製作所」で材料購入♪

  10. 【金継ぎ教室 初心者の体験実録】6日目|大きく欠けたマグカップ入手!と、乾いた切子漆の上に生漆を塗る方法

TOP