つぐつぐは東京の恵比寿・浅草の2拠点で、それぞれ金継ぎ教室を週11コマ行っています。その生徒さんから、つぐつぐで働きたいと申し込みが少なからずあります。今回は、元つぐつぐ生徒で、現在2年以上つぐつぐで働くDさんの、入社からこれまでの経緯をご紹介します!
Dさんがつぐつぐに採用応募した理由
Dさんは趣味としてつぐつぐの金継ぎ教室に約半年ほど通っていました。つぐつぐの雰囲気と、先生が皆女性で同世代で若い人多いのが魅力でした。先生は、カジュアルすぎず、丁寧かつ論理的に教えてくれるので、しっかり学びたいと思ってたDさんにとても合っていたそうです。
つぐつぐの金継ぎ教室に通い、友人の器を修理したことをきっかけに、金継ぎを仕事にしたいと思いました。
Dさんは、大手広告会社に10年以上勤めていました。広告業界へは、広くたくさんの人に価値観を伝えることにダイナミックさと魅力を感じて入りました。
そんな業界から、全く別の金継ぎの仕事したいと思った理由は、広告業界で長く働いていると、たくさんの人に喜んでもらうよりも、目の前の一人の人に喜んでもらう方が、自分にとっては幸せかもしれないということを、金継ぎで気づいたからです。
Dさんは、つぐつぐに通いながら、お友達の器を金継ぎの練習として修理したそうです。そして金継ぎされた器をお友達に返したら、すごく喜ばれて驚きました。
その時に、こういうふうに目の前の人が喜んでもらえて、役に立てる仕事っていいな、と思いました。
そこで金継ぎの仕事があるのかと調べたところ、たまたまWantedlyで、自分が通ってるつぐつぐで採用中であることを知り、応募しました。
つぐつぐ入社から金継ぎ師としてデビューするまでの道のり
金継ぎ師ポジション入社1ヶ月目
Dさんはつぐつぐの金継ぎ教室に約半年通われていたこともあり、基本的な金継ぎの工程については理解していました。
入社して最初に、金継ぎ修理のご依頼を受けた時の見積もり方法を学びました。
最初からお客様に対面して見積りを伝えるわけではありません。つぐつぐは無印良品と金継ぎ修理の業務提携を行なっており、そこで受け付けた器はつぐつぐ店舗に持ち帰り、店舗で見積もりをしてメールでやり取りしています。まずは時間をかけてでも、しっかりと破損器と向き合い、破損の状態の観察の仕方、見積もり方を学びました。
金継ぎ師ポジションではもちろん金継ぎの練習をしますが、最初から、お客様からお預かりした器には触らせてもらうことができませんでした。なぜなら、それらはお客様の命ほど大切にしている器。素人が修理して失敗するなど許されないからです。
しかし、金継ぎの腕を磨くために、販売目的の金継ぎされた器を作るために、器を最初の接着から仕上げまで練習することができました。
その後、知識と技術の試験を受け、教えてもらいながら実践していきました。
試験に合格したら、合格した工程のみ、修理品も扱うことが許され、少しずつ本物のご依頼品に触っていくことができました。
特に業務がない日も、早く上達したくて、定時を過ぎても残って金継ぎの練習をしていました。
金継ぎ師ポジション入社2ヶ月目
金継ぎ教室の講師になるべく、先生になる練習と試験が始まりました。
この頃はオンライン教室も行なっており、Zoomを使って、手元カメラでこちらのやり方を見せながら、1対1で金継ぎ講義を行う練習しました。
金継ぎ師ポジション入社3ヶ月目
Dさんは金継ぎ教室に通われていた経験から、すでに基本的な技術は習得されていたので、他の社員より早くに先生としてデビューする目標が与えられていました。
「講師テスト」を受けながら、少しずつ、金継ぎ修理品を手掛けていきました。
そして、先生として自分のコマを持つことができました!
最初は緊張しました。生徒の質問に全て的確に答えられるか不安だったからです。こちらから説明はできますが、もし知らないことを聞かれたら答えられなくて不安な気持ちにさせてしまうのでは…と申し訳ない気持ちがありました。
もし、見たこともないような破損度の高い器をお持ちになられたら、うまく対応できるだろうか…きちんと完成に導けるのだろうか…という不安がありました。
そして、実際講師をしてみると、やはり予想していない質問も受けました。超バラバラの器もありました。
しかし、心掛けたのは、ふんわりしたことを返さず、確信がないことは答えない。無責任なことは言わないことを徹底しましました。
きちんと調べて回答するので、宿題にさせてください、と正直につたえること。
可能であればそのときにいる先輩に聞き、いなければ後で先輩に聞いたり調べて、次回必ず答えるようにしました。絶対にその場で曖昧に答えて、逃げることはしませんでした。
つぐつぐには、金継ぎ「一問一答テスト」があるのですが、ここにある内容以上に聞かれたこともあったそうです。これから入ってくる新入社員のためにも、更新したいと思います。
これから入社する方へのメッセージ
「つぐつぐには聞けば答えてくれる環境がしっかりあるので、自分が頑張り、工夫すれば、絶対に成長できます!」
金継ぎ師ポジション入社4〜6ヶ月目
金継ぎは、年末年始にご依頼が増える関係で、修理の納期が重なっている依頼品が多く、とても忙しくなりました。
この頃、つぐつぐに新しい評価制度が導入されました。
最初は、工房に入ったという気持ちでしたが、きちんとした会社っぽくなってきたなという実感がありました。
きちんと評価してくれる体制になっていくことの期待と、会社が変わり、どこへ向かうのかという不安がありました。
「工房っぽい会社」とは、1年経ったらみんな一緒にいくら給与がアップするとか、期間に合わせてみんな一緒にステップアップしていくようなイメージがでしたが、つぐつぐは会社が成長するにつれ、チームプレーではありつつも、個人の頑張りが評価と給与に反映される会社になっていくのを感じました。
この頃、秋でしたが、入社から半年くらい経ったときに、新しい試みがありました。
これまではつぐつぐの店舗だけで金継ぎワークショップを行っていましたが、外に出張してワークショップを行いました。埼玉県のさくらタウンです。遠くに出張することで、普段教室で会えない親子連れのお客様に会えたり、ブースで金継ぎキット販売したので、通りすがる人のどんな方がキットに興味をもってくれるのか、リアルな反応を見れておもしろかったです。
これまでは、店舗に来てくださるお客様に説明をしていましたが、イベントではこちらからお客様を捕まえにいくと全く違った経験ができ、新鮮でした。お店の中だけにいるとわからないことが見えました。
このイベントをきっかけに、出張ワークショップに参加することが増えました。こういった遠方に出張して、お客様の反応を直接感じることが、とても勉強になりました。
金継ぎ師ポジション入社1年目
コロナが明けていくとともに、インバウンドの外国人のお客様が店舗に訪れることが増えてきました、特に、1時間完結の金継ぎワークショップが海外の方に人気でした。
つぐつぐのスタッフも、英語対応が必須となってきました。
そこで、Dさんにも、英語で金継ぎワークショップを教えるという目標が課されました。
最初はとても緊張しましたが、初回に参加者3名に教えたところ、とてもいいお客さんで、すごく喜んでもらえました。最初に伝統金継ぎワークショップを英語で行い、その後、簡易金継ぎワークショップも英語でできるようになりました。この頃は、日本人へのワークショップと、外国人へのワークショップは日時が分かれており、日本語か英語、どちらか一つの言語で開催できたのですが、現在は外国人の参加者の増加から、日英同時開催になりました。Dさんは、最大6名の参加者で、日本人・外国人両方に日英両方説明し、同時開催を可能にしています!
1時間のワークショップだけでなく、生徒さんが長期間通われる、金継ぎ教室でも英語で教えるようになりました。
Dさんはその後、つぐつぐの中で部長に昇進し、自分の技術だけでなく、後輩への育成でも力を発揮し、つぐつぐに貢献しています。
つぐつぐでの仕事は、どういう人が向いていますか?
Dさん「人が好きな人がいいと思います。明るいお店・会社を目指しているので、明るい雰囲気が作れる人がいいです。お客様に対しては明るく振る舞うのは当たり前だけど、社内の人に対しても同様にできる人が望ましいです。人に興味をもって、周りを見てコミュニケーションとれる人が来てくれると、社風に合っていると思います」
一言で言うと、思いやりがある人。これは、つぐつぐのキーワードでもあります。
こうしたいという自分の意思を持っている人がいいですが、金継ぎだけがやりたいというのではなく、英語でもやってみたいとか、ワークショップももっとこんなふうにやってみたいとか、やるべきと決まっていることをしっかりできるようになった上で発展・より良くさせていく時に、提案できる人はすごくいいと思います。
なぜなら、つぐつぐは、「やりたい」といったら、すぐにやらせてもらえる環境だからです。
Dさんにとって、つぐつぐの魅力
つぐつぐは、すぐに打席に立たせてくれる会社です。
どんなにテストしても、練習しても、打席でバット振らせてもらえないとできるようにならないし、何ができないかもわからないと思うんですよね。もし失敗しても、打席に立たせた代表・俣野の責任だと言ってくれたことが、心の支えになっていました。この言葉のおかげで、少しは気楽に、思い切って打席に立てました。
つぐつぐにいれば、確実に、金継ぎはどこでやるより最も早く上達します。間違いないです。
Dさんにとっての、社長とは?
俣野さんは、意見を言いやすいですし、いつも話を聞いてくれます。
いい報告も、悪い報告も、平常心で聞いてくれます。(えー!と怒らずに。)
良くないことが起こったら、それが起きないようにする、仕組みづくりの早さがすごいんです。
そして、聞くとなんでも教えてくれます。金継ぎだけでなく、お金や数字、そして、つぐつぐがどういう状況なのか。
月に1回ある、全社員が参加する月例会では、店舗の売上も開示されます。伝統業界・金継ぎとはいえ、自分達の売上を知ることは、モチベーションになりました。
自分の実績を数値で見るというのは大切だと思いました。お客様の感謝の度合いを、数値で実感できているのはとても良いと思います。
金継ぎポジションへの応募を検討している方へ、最後にDさんから一言
「つぐつぐの金継ぎ事業は、目の前にいる一人の人の役にたてる、すごく誇らしい仕事だと思います。そういうことに幸せを感じられる人には、とってもいい仕事だと思います!」
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