金継ぎ教室つぐつぐ

【入門】金継ぎ依頼のトリセツ | 割れた陶器の修理は職人・プロにお任せ!

「金継ぎ(きんつぎ)」は、実は室町時代から伝わる日本の伝統技術なのですが、令和2年から始まったコロナ禍に再び大ブームになっています。ステイホームを余儀なくされた私たちは、おうち生活や暮らし方について深く考えるようになり、ふと、欠けたりヒビが入った食器の存在に気づいたのかもしれません。

せっかく手に入ったおうち時間に、新しい趣味をかねて自分で金継ぎして大切な器を修復する人が増えましたが、やっぱり自分の手で金継ぎを始める勇気が出なかったり、手先が器用なタイプではないため自分でできる自信がなかったりする人も多いかもしれません。でも、職人さん・プロに金継ぎ修理を依頼するのって、敷居が高い気が・・・
そんなことありません!
今や金継ぎはとても身近になってきていますし、私たちつぐつぐは、誰でも気軽に、割れた器を修復のプロに依頼できるよう、さまざまな試みを行っています^^
この記事では、金継ぎが気になっているけど、修理依頼に出そうか迷っている方や、壊れた食器や陶器を持っていて捨てるのはもったいないけど、どうしたらわからない方へ(または食器棚の隅に隠しているあなたへ)金継ぎの修理依頼の不安を解消し、どうやって依頼するか、徹底的に解説します!
(この記事では食器にできる伝統金継ぎに限った内容で、ご紹介します)

金継ぎ依頼の値段の相場は?

割れたり欠けたりした器を持っていても、イマイチ金継ぎ修理を職人さんに依頼しようという気になれない大きな原因には、「修理の値段が高そう・・・」というイメージが先行していることにあると思います。その金額が高いか安いかの妥当性や価値観は、個人個人によって違うと思いますが、一般的には、それほど安くはないと考えてよいでしょう。
また、その金額の妥当性を判断するのにその器の元値(買った時の購入金額)と比べる方が多いです。その器の元値より、割れ・欠け・ヒビを金継ぎ修理する金額の方が高いこともあるからです。「そんなに高い器じゃなかったし、そこまでして修理してもらわなくていいか・・・」と考え、あきらめる方も多いです。
それでは、まず、一体金継ぎ修理の価格ってどうやって決まっているのか、気になる金継ぎ修理の相場とともに、ご説明します。

① 欠けた陶器の金継ぎ修理相場

欠けは、欠けた部分の「面積」が大きいほど、最終的に仕上げで使用する金粉の量を多く使用するので、金額が高くなる傾向があります。例えば、直径1cmほどの欠けでは、税別4,000円以上することが多いです。そして直径が0.5cm・1cmと広がっていくごとにプラス数千円、という感じで、値段が上がっていきます。

また私が見たことのある一番高いところで、1つの欠けに13,000円というのを見たことがあります。一流の蒔絵師さんによるお直しで、欠けを埋めること自体の技術は他とそれほど変わらないかもしれませんが、仕上げにさまざまなタイプの金粉があり、高度な技術があるとお見受けしました。
また欠けの修理は、欠けを埋める材料となる漆の特性上、日をおいて少しずつ埋めていかなければならないので、とても時間と手間暇がかかる作業なのです。深い欠けほど手間暇がかかりますが、ものすごい深くて大きい欠損でなければ、大体は表面の面積で見積もられると思います。

そして欠けは、金継ぎが仕上がった時に見える範囲が広いので、職人さんの腕の見せ所。まっ平に磨がれた表面に、美しい草原のように金がのって仕上がった金継ぎは、シンプルな器にアクセントとなります。ちょっと欠けたマグカップやボウルなどをもっている方は多いですが、なるべく使わないように食器の隅に隠していたり、使う時も、欠けたところが口に当たらないようにして、ちょっと申し訳ない気持ちで器を使用することが多いですが
欠けを金継ぎすることで、自慢の器として蘇ることは間違いないです。欠けを金継ぎすることで、自慢の器として蘇ることは間違いないです。

①のまとめ:欠けの修理金額は、面積で決まることが多い。

② 割れた陶器の金継ぎ修理相場

割れのお直しは最も高額になりやすく、割れたラインの「長さ」に比例して値段が変わるところが多いです。5cmくらいの割れの長さで、安くても税別5,000円以上はすると思います。そして、割れが1cm長くなるごとにプラス数千円、という算定方法が多いです。
割れのお直しが高くなる理由は、接着に時間がかかることに加えて、最後に仕上げで金粉を蒔くときに、その器の表と裏の両方に蒔くため、金粉を多く消費することもあげられます。「お皿の裏はどうせ見えないから、金粉を蒔かなくてもいいよ」という人のために、金粉を蒔く割れのラインの長さだけでカウントする職人さんもいらっしゃると思います。

とにかく、割れの数が多いほど、割れの長さが長くなるほど、難易度も、使用する金粉の量も増えますので、金額は上がっていきます。逆に小さい器が割れた場合、割れのラインの長さが短いため、意外に安く済むこともあります。割れた破片同士の接着は、十分に日数をおいて固定しなければならず、また絶対にズレてはいけないことから、職人さんの腕の見せ所です。
割れが多ければ多いほど、金額は高くなりますが、これぞ金継ぎ!という美しい複数の金のラインで仕上がった器は、自分の中では国宝級の、一生の宝物になること間違いなしです。

②のまとめ:割れの修理金額は、割れの長さで決まることが多い。

③ヒビの入った陶器の金継ぎ修理相場

ヒビの修理金額は欠けと割れの金額の中間くらいになることが多いです。なぜなら、割れの場合は、②でご説明したように、その器の表と裏の両面に金粉を蒔いて仕上げますが、ヒビの場合は片面のみの処理であることが多いからです。(例えばコップの内側は漆を染み込ませて防水だけしておいて、外側のみ金粉を蒔いて美しい金継ぎラインを施すなど)

また、割れていないので、器の破片同士を接着する作業が不要で、割れに比べると短期間に仕上がることも理由の一つです。私が見る限りですと、ヒビ1cmで税別3,000円以上の料金をお見かけします。そして、ヒビの長さが◯cm伸びるほど、プラス数千円という金額設定がよく見られます。
実際には、すごく薄いヒビだけで金継ぎ修理依頼をされるお客様はそれほど多くなく、ほとんど割れそうなくらい大きな亀裂が入っている場合の修理依頼を見かけます。割ることのできるヒビは、割って修理した方が、格段にその後の耐久性が良いですので、職人さんの多くは、ヒビを思い切って割ることをオススメします。(結果的に、割れとしてのお直しだと、ヒビのお直しより料金は上がりますが。)

しかし多くの場合は、ヒビ単品よりも、割れや欠けにヒビが複合している状態をよく見かけます。器の持ち主は、器を割ってしまった時、多くの場合その割れや欠けなどの大きな破損に目がいき、ヒビは見逃していることが多いです。そのため、破損した器の写真を送って職人さんにお見積もりを依頼した時は、割れや欠けのみの修理を依頼するつもりでも、実際に職人さんが現物を受け取って見たときには、ヒビが複合していた!ということが非常に多いです。そんなときは、職人さんが持ち主に「ヒビが見つかりましたが、こちらも修理をご希望ですか?」と確認して、お客様に金額をご了承いただいてから修理をされることがほとんどですので、突然、後で法外な追加請求をされることは、まずないと思います。(全国のたくさんの金継ぎ職人さんにお会いしましたが、どの職人さんも良心的で、お客様のために修理されているなと実感しました)

→「保存版【職人が金継ぎを始めたきっかけ|まとめ】3ヶ月で13人の全国の職人にインタビューしました!」はこちらをクリック

またヒビは、水漏れするほどひどいものでなければ、絶対に金継ぎで修理しなければならないものでもありません。ヒビのラインも金継ぎで仕上げて自慢の一品にしたい!というのであれば、もちろんおすすめしますが、お財布が厳しいようでしたら、まずは目立つ割れと欠けの金継ぎをご依頼して、ご自身で気づいていなかった薄いヒビは、そのままにしておく、というのもアリかと思います。

③のまとめ:ヒビの修理金額は、欠けと割れの修理金額の中間くらいであることが多い。

金継ぎ修理金額の設定根拠(その他の方法)

これまで述べたように、壊れた部分の長さ単位できちっと金額を計算する職人さんもいらっしゃいますが、壊れた器は割れ・欠け・ヒビが複合していることも多く、またその器の素材や形にによっても難易度が異なるため職人さんがその器を見て、どれくらい修理が大変か直感的に判断して値段を決められることも多いです。

いろいろなことに手間暇がかかり、なかなか計算式で金額を出しにくいのため「4400円〜」のように、最低金額のみ記載しておき、職人さんの目から見てどれだけ大変そうか(職人さんはご経験からパッと見てわかります)で、値段を決定される方も多いです。なんとか費用感をお客様にお示ししようと、お直しの金額例として壊れた器の写真を見せて、これくらいの破損度ならいくらです、というように写真で紹介されている職人さんもいます。

また、複数個の器を同時に修理を依頼すると安くなることも多く、定期的に大量にご依頼するリピーター企業さんには、「まとめてこれくらいの金額でやります!」という職人さんもいらっしゃいます。全て手作業の大変な作業ですが、人がやっている分、人情やあたたかみがあるのも、職人さんのよいところかと思います。

金継ぎ修理金額は仕上げの色で違う

一般的に、仕上げ方を金にするか、銀にするか、漆仕上げにするかなど色味によっても金継ぎ修理金額が異なります。金>銀>色漆の順に高いことが一般的です。また金粉にも複数の種類があり、(主に丸粉、延粉、消粉の3種類があります)強い光沢のある丸粉仕上げか、マットで白っぽい輝きの消粉仕上げか、その中間の延粉にするかでも異なります。(最近は延粉を使用される職人さんは少ないように思います)

金粉の種類の中では、丸粉>延粉>消粉の順に金額が高いことが一般的です。どの金粉もそれぞれ特徴があって美しいので、どれが一番良いということではないです。

金粉の種類の特徴を詳しく知りたい方は、こちらのブログを参照】

職人さんによっては、丸粉だけとか、消粉だけとか、どれか1種類の金粉しか取り扱っておらず、特にお客様の方で選択する必要がないこともあります。仕上がりの細かな色味も気にされる方は、職人さんに修理依頼をされるときに、どの金粉を使われているか(または選べるか)、一度チェックしてみてください。

金継ぎ修理以外にかかる費用

郵送で修理を受け付けているところは、修理代金にプラスして、往復の送料もお客様の負担となることが多いです。割れた器の持ち主が、職人さんに割れた器をお送りし、職人さんが、割れた器の現物を見て、金額の最終提案を行います。万が一、持ち主がその金額に合意できず、返送するようになった場合は、その返送料も通常、持ち主の負担となりますので、ご注意ください。

職人さんが実物を見て初めて正式な金額が確定するので、事前に破損の大きさや形が分かりやすい鮮明な写真を、たくさん職人さんにお送りし、できるだけ実物と乖離のない金額のお見積りをいただいておくことが、トラブルを防ぐと思います。
壊れた器を持ち込めるような職人さんがお近くにいらっしゃれば、送料が浮くので、ラッキーです。しかし同じ市町村区内に金継ぎ職人さんがいらっしゃっても、コロナ禍のご時世、郵送は大きな負担軽減になります。そして、いずれにせよ、値段は職人さんの間で大きく異なってきますので、持ち込みによって送料が浮いて安くなるといっても、意外にに遠くにいらっしゃる職人さんの方が修理費用が安かったりで、トータルで見れば金額に差はないかもしれません。郵送するためには、厳重に梱包しないと、郵送中にさらに器が破損してしまうリスクがあります。そして、どんなに厳重に梱包しても、「割れ物注意」シールを貼ったとしても、郵送は完璧ではなく、配送業者が粗く扱ってしまったり落とされたりで、破損度が高くなるケースもありますのでご注意ください。

やはり大切な器を預ける機会ですので、金額だけでなく信頼できるお気に入りの職人さんを選び、複数の写真を送ってお見積もりを依頼して、そのやりとりから納得して、実物を送るのが安心かと思うので、ご自身にあった方法を選択してみてください。

金継ぎ修理依頼できないもの?

残念ながら伝統金継ぎは万能ではなく、なんでも金継ぎ修理できるわけではありません(´·ω·`)
ここでは、よくある金継ぎ依頼できないものに関する質問と、その回答を紹介します。

①土鍋は金継ぎ修理依頼できますか?

①の答え:金継ぎできますが、以前と同様に直火にかけてご使用になれません。多くの場合、土鍋は土物ですので、他の器と同じく金継ぎできますが、残念ながら、金継ぎ修理後、直火にかけてぐつぐつ煮る、お鍋料理ができなくなります。金継ぎした箇所を直火にかけるのは厳禁なのです。
「じゃあ土鍋の火が当たらない上部が破損していて、そこを金継ぎ修理した場合はどうなの?」とよく聞かれますが、こちらもNGです。土鍋の蓋もNGです。
理由は、直火でぐつぐつと料理すると、修理部分を含む土鍋全体の温度が、漆が耐えうる耐熱温度を超えてしまうからです。
しかし、金継ぎされた土鍋を、今後は観賞用としていただくのでしたら、金継ぎ自体は可能です!

②花瓶・植木鉢は金継ぎ修理依頼できますか?

②の答え:金継ぎできますが、育てる植物によって使用が制限されます。
漆の特性上、金継ぎで修復した箇所を長時間水に浸しておくことができません。漆が剥がれてしまうからです。長時間ってどれくらい?とよく聞かれますが1日中がダメ、という職人さんもいれば、1週間くらいは大丈夫、という方もいます。念の為、1日以内にしておいた方が良いと思います。1日以内に水は拭き取りましょう。
金継ぎ修理した箇所の扱いは、基本的には漆器と同じ扱いになります。通常、漆器をずっと水に浸しておくようなことはされないと思います。

また花瓶にもいろいろありますが生花をを入れるタイプのものは、修理後、水を入れて花を活けることはできないまでも、ドライフラワーを挿して楽しむことができます。


土を入れて外に置くタイプの植木鉢は、ものすごく土をじめじめさせた状態で使用すると、修理部分の漆に水分が触れ続けて良くないので、避けていただきたいです。
また植木鉢を外に置いて、日光の下で野ざらしにするのも、修理箇所の漆に良くないので、避けていただきたいです。しかし、植物によってはほとんど乾燥した状態の土で、霧吹きをたまにシュッシュするだけのタイプもあると聞きます。そういった乾燥した状態を好む植物に対しては、金継ぎ修理をした植木鉢を使用してOKです。
また破損箇所が水に触れないほど上部にある場合、これまで通り水を入れての使用は可能です。

③マグカップ・コップの取手は金継ぎ修理依頼できますか?

③の答え:金継ぎできますが、ご使用になる場合は取手だけを持たないようにしてください。
マグカップやコップの取手の金継ぎ修理はよくあることですので、どんどん依頼されて良いと思います。しかし、取手の多くは細いものだと思いますので、いかに金継ぎ修理でくっついたとはいえ、元と同じだけの耐久性はありません。ですので、万が一取手だけを持って、熱い飲み物の入ったコップを持ち上げて再び折れてしまうと、怪我をする可能性があるので、絶対にマグカップ本体に手を添えてしっかり支えた上で、取手をやさしく持ってご使用になってください。

取手の金継ぎの耐久性を少しでも上げるために、割れた部分に布の入った巻き物を施すことが多いです。マグカップの取手だけでなく、レンゲやスプーンなどの細いものには、下記のような巻き物をすることで、強度が上がります。

このゴールデン・リング、超可愛いんです^^
(巻き物による補強は、追加料金がかかることが多いです。)

④木や漆器は金継ぎ修理依頼できますか?

④の答え:はい、できます。
「金継ぎ」と呼ばれる修理技法は、もともと陶器や磁器などの割れるものに対して、漆を使って直すものでしたが、もちろん木でできた漆器なんかも、漆で修理できます。そして、その上に金粉を蒔いて、蒔絵的な仕上げを施すことも可能です。木に漆が染み込むので、漆の食いつきも良いです。
金継ぎのように継ぎ目を目立たせるのではなく、元の漆器と同じ色で直したり漆器全体が剥げてきていたようでしたら、全体の漆を塗り直しすることも可能です。

漆器が古くなってきたら、このように漆を塗り直してお手入れするとよいですね。もはや金継ぎというか、拭き漆・漆の塗り直しという感じです。ただし、金継ぎ師さんによっては、陶器・磁器の金継ぎを専門に行なっている方もいらっしゃるので、木や漆器の塗り直し・お直しができるかどうかは、事前に職人さんにお問い合わせした方が良いです。

⑤ガラス・グラスは金継ぎ修理依頼できますか?

⑤の答え:できる場合と、できない場合があります。
ガラス製品は昔は「割れたら捨ててしまおう」という感じで、安いものとして扱われていました。しかし最近は、バカラ(Baccarat)などの高級ガラス製品も普及してきており、割れても、捨てるのはもったいない、使い続けたい・・・と思う方も増えてきたように思います。
そこで誕生したのが「ガラス金継ぎ」。

しかし、通常、陶器や磁器に使用する漆は、ガラスのような非常につるつるした表面にはくっつきにくいです。そこで最近では、漆やさんが「ガラス用うるし」なるものを開発しました!漆に合成樹脂を混ぜ、ガラスにもくっつきやすくしたものです。食品安全法を通っているガラス用漆もあるため、通常陶器の金継ぎで使用する漆の代わりに使用することで、ガラス製品も修復することができます。
しかし、ガラスは陶器とは性質が異なるため、きれいに仕上げるためには、通常の金継ぎのやり方と全く同じというわけではなく、工夫が必要で、難易度も高いです。

また、下記のようなガラスの接点の面積が小さく、大きく負荷がかかる部位は、おすすめしません。

難易度が高いのと、昔からあった技法ではないため、ガラス金継ぎができる職人さんは少ないです。ですので、ガラス製品の金継ぎを依頼したい場合は、事前にその職人さんが対応可能か、お問い合わせをすることをおすすめします。

金継ぎ修理が完成した後の注意

金継ぎによって割れた器はさらなる輝きを増して生まれ変わりますが、修理後のお手入れには注意が必要です。基本的に金継ぎされた器は漆器と同様の扱いをしていただきたいのですが、金継ぎの美しさを長く保っていただくために、主な8つの注意をご紹介します。

①修理後はすぐに使用を開始せず、徐々に使用を開始してください。

金継ぎ部分の漆は時間が経つほどに強固になります。そのため、金継ぎ修理が完了してすぐ使いたい気持ちを抑えて、ゆっくり使用を開始してください。最初の数ヶ月は鑑賞するだけにしておいても良いかもしれません。職人さんによっては、お客様がすぐに使用し始めないように、長期間手元に置いておいてからご返送される方もいらっしゃいます。

②金継ぎ部分はゴシゴシこすらず、優しく洗ってください。

せっかくの美しい仕上げが摩耗しないよう、やさしく洗ってください。

③電子レンジ、食器洗い機、オーブン、直火、蒸し器および高圧蒸気に入れて使用しないでください。

金継ぎでは表面に金粉や銀粉などの金属粉を蒔いて仕上げているため、電子レンジは厳禁です。また、食器洗い機に入れるのも良くないです。欠けなどはポロっと取れやすくなります。オーブン・直火・蒸し器も、漆の耐熱温度を超えているため、使用できません。ただし、もちろんですが、熱いお茶やスープなどの熱いお飲み物を入れての飲食は可能です。

④金継ぎした器の修理部分にフォークやナイフなどの鋭利な食器が当たらないようにしてください。

修復したとはいえ、鋭利なものでガリガリ削ると、剥がれやすいのでご注意ください。

⑤金継ぎした器を他の器と重ねておくときは、修理部分が他の器に直接当たらないようにしてください。

他の器によって擦れたり圧がかかって、剥がれやすくなります。

⑥冷蔵庫に長時間入れておかないでください。

修理部分と他の部分の乾燥速度に差が出ることにより、ヒビが発生する場合があります。

⑦水につけたまま長時間放置しないでください。

漆は水に長時間つけると剥がれやすいため、金継ぎで修理した箇所は水につけたままにしないでください。
お食事やお飲み物に使用した後は、1日以内には優しく洗って、水気を切って保管してください。

⑧金継ぎした器を直射日光に長時間さらさないでください。

漆は直射日光に弱いので、強い日光に当たる場所に長時間置かないことをおすすめします。

⑨熱すぎる熱湯を修理箇所に直接注がないでください

冷えた器に熱湯を注ぐ等、急激な温度変化が起きないようにするだけでなく、漆の耐熱温度といわれる95度を超える熱湯を直接入れないよう注意してください。沸騰したお湯は少し冷ましてから入れる方が安心です。

⑩細い部分の金継ぎ修理部分は、持たないでください

取手等の接着面積の小さい破損を金継ぎで修理した場合、本来の強度には戻りません。ご使用時に撮ってのみを持つと継ぎ目に負荷がかかりやすく、再び破損する原因となるため、修理後は必ず本体に手を添えて、本体を中心に持ってご使用するよう注意してください。

その他、金継ぎ修理後の使い方の注意

合成接着剤で修理した場合、最初に一気に硬化しすぐに使えるようになりますが、経年劣化していき、10-20年後には脆くなります。一方漆を使った金継ぎは、修理した直後は耐久性が劣りますが、何年も経つにつれ逆に強くなっていきます。

金継ぎは完璧な修理ではなく、壊れる前の耐久性には劣ります。そのため、毎日使うような器に金継ぎ修理をしたら、その後は使用頻度を落として、愛でながら使っていただくのが、金継ぎを長持ちさせるコツです。

どこに金継ぎ修理依頼する?

金継ぎ修理の価格相場と、金継ぎ依頼できないもの、金継ぎした後の器の扱い方はマスターしました!いよいよ、金継ぎ修理を依頼してみたい!と思ったあなたに、どのように依頼をすれば良いか、Next Actionをご紹介します。

①インターネットで金継ぎ職人さんを探して、依頼する。

金継ぎ修理を受け付けている職人さん・お店は、街中を歩いていて偶然見つかることは、ほとんどないです。なぜなら、職人さんはそれほど多くなく、また場所も、郊外のご自宅などで修理を営んでいることが多く、人通りの多い繁華街に金継ぎのお店があるほど、普及してはいないからです。そこで、金継ぎを受け付けてくれるお店を見つけるのに有用なのが、インターネット検索。

「金継ぎ」、「金継ぎ 東京」、「金継ぎ 依頼」や「金継ぎ 修理」などで、お近くの金継ぎ職人さんを検索してみましょう。ラッキーにも近くに見つけたら、そのまま持ち込むことができます。ウェブサイトから、信頼できそうなお気に入りの職人さん・お店を見つけることをおすすめします。

器の金継ぎ修理、つぐつぐの本店でも承ります。(持ち込み)

全国の職人さんに金継ぎ依頼をもっと受けていただいて、さらに活躍して欲しい!という気持ちで、2020年にオンライン金継ぎマッチングプラットフォーム「つぐつぐ」を作った私ですが、2021年2月に東京都内に店舗を構えることができ、金継ぎ修理師の仲間が増えてきました。
最初は金継ぎ修理依頼を受け付けていなかったのですが、周辺にお住まいの方から「私の器を金継ぎ修理してください!」と直接持って来られることが増えたため、お断りするのもなぁ・・・ということで、つぐつぐの本店でも、器の金継ぎ修理を開始しました^^

東京から遠方の方から「郵送でぜひ修理をお願いしたい」というお声を頂戴したため、以前は郵送でもご依頼を受けていたのですが、こちらにお届けいただく郵送中に破損が大きくなっていたり、残念なケースがあったため、現在は持ち込みのみでの対応をさせていただいております。ご理解いただけるとありがたいです。

MUJI 新宿とつぐつぐが、金継ぎ修理で業務提携しました!(持ち込みのみ)

【2023年5月追記】2023年5月15日より、金継ぎ修理品受付場所は「MUJI 新宿」から「無印良品 新宿通り」に移転しました。

2021年9月10日、つぐつぐとしてはとても大きな日を迎えることになりました。な、な、なんと、あの無印良品と、金継ぎ修理で業務提携を開始することになったのです!無印良品こと、良品計画は、とても大きな会社さまですが日頃からシンプルで良い製品を提供するだけでなく、環境への配慮や、SDGsにも積極的に取り組まれており、この度このようなお話しをいただきました。

業務提携が具体的にどのような内容かと言いますと、みなさまがお持ちの壊れた器を、無印良品に持ち込んで、金継ぎ修理依頼ができるのです!その割れた器の修理依頼は当社つぐつぐが引き取り、心を込めてお直しし、つぐつぐからお客様へ直接お返しします。

つぐつぐ本社は、東京都内の恵比寿駅と広尾駅の間あたりにありますが無印良品は新宿駅・新宿三丁目駅などのとても大きな駅から近く、ショッピングなどで多くの方が集まる新宿の中心にあるので(そして、車でも行きやすい!)ちょっとお買い物のついでに金継ぎ依頼をできる、大変交通の便が良い立地にあります。
この業務提携により、金継ぎ修理依頼がもっとみなさまの身近になることを願っています。そして私たちの活動は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に大変大きな貢献ができると信じています^^

※現在、無印良品 新宿通りだけとの業務提携で、全国の無印良品ではありませんのでご注意ください。
また郵送での金継ぎ修理依頼をご希望の場合は無印良品ではなく、直接つぐつぐの本店にお送りください。

【2023年10月26日追記】2024年1月1日以降の受付分より、無印良品でのお預かり料を330円→550円に改訂します。

理由:無印良品からつぐつぐへ、器は郵送ではなく車などでつぐつぐの従業員が運んでいること(やはり郵送では破損のリスクがゼロではないと考えました。お客様の大切な器を、これからも安全に運びたいと思っております。)さらに、頻回に取りに行くスタッフの手間暇がかかっているためです。安全第一を考えた結果ですので、ぜひご理解いただけるとうれしいです。

金継ぎ修理依頼のやり方

無印良品で金継ぎ修理依頼をされる方は、器を直接無印良品にお持ち込み、店員さんにお声をかけ、カウンターで専用の申込書に記入するだけで、修理依頼が完了します。


価格に不安がある方や、ご自身の器が金継ぎできるかわからない方は無印良品に持ち込む前に、写真を複数枚撮って、事前につぐつぐに見積もり依頼をするのが安心です。(「無印良品で見ました!」とメール本文に書いていただけるとスムーズです)

そこで大体の費用感を知って問題なければ、無印良品に割れた器を持ち込みましょう。偶然にも東京恵比寿・広尾エリアのつぐつぐ本店の方がお近くの場合は、つぐつぐに持ち込んでくださっても結構です。
無印良品も、つぐつぐも遠くてお越しになれない方は、つぐつぐ宛に郵送が可能です。その他の職人さんも、同様の修理依頼の受付方法を取られていると思います。
いずれにせよ、器を郵送または持ち込む前に、できるかぎり鮮明で多くの写真を職人さんに送って、お見積もりをとっておくのが安心です。

金継ぎ修理依頼のおすすめの場所

もし金継ぎ修理を東京で依頼するなら、ぜひ無印良品かつぐつぐに壊れた器をお持ち込みください^^伝統金継ぎを身近にしたい!という気持ちから、つぐつぐでは、できるだけ価格を抑えて、一つ一つ大切にお直ししています。

無印良品 新宿通り 住所

〒160-0022
東京都新宿区新宿3-17-1
営業時間 10:00〜21:00

株式会社つぐつぐ(東京金継ぎ教室 つぐつぐ)恵比寿店 住所

〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿2-21-2 akikito apt. 1階
営業時間 10:00〜18:00(水曜休)

株式会社つぐつぐ(東京金継ぎ教室 つぐつぐ)浅草店 住所

〒111-0034
東京都台東区雷門1丁目1番2号1階
営業時間 10:00〜18:00(月・水曜休)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
あなたの金継ぎ修理依頼の不安が少しでも解消されれば、これほどうれしいことはありません。
日本で、世界で、金継ぎ修理依頼をもっと身近にするために、これからも活動していきます。 – Yuki

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