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なぜ器を修復する金継ぎにヒーリング(癒し)の効果があるのか?

金継ぎには、人の心を癒やす心理的効果があります。
金継ぎというのは、精神的にどのような影響をもたらすのか?
今回は、金継ぎの心理的特性について解説していきます。

金継ぎが精神にもたらす効果とは

金継ぎの特性として、「特殊な造形活動である」ことと「可塑性が低い作業である」というものがあります。

造形活動である

金継ぎは、いわゆる造形活動です。造形活動というと、その名のとおり「形を造り出す」特徴を持ちますが、金継ぎのちょっと変わった部分は、「もともとの形は存在しているが、それが壊れてしまったため、特殊な技法で修復することで新しいものとして造り出される」という点です。

ですから、造形活動とはいってもある程度の形は決まっています。

可塑性が低い

金継ぎは、上記のとおり無い形を一から作りだすわけではありません。逆に陶芸などは、無い形を一から作り出す作業になります。金継ぎはあくまでも修復技法ですから、ひびや傷が一つの作品の美しさになるにしても、完成の形を自由に決められるわけではありません。

こういう、自由度が低い作業を「可塑性(かそせい)が低い」作業といいます。
しかしこの「一から作り出す」という点が、人によっては思いのほか精神的に負担がかかることもあります。
一から考え、形を造り出すというのは作品に自分の感情や思考を投影する(映し出す)心理効果を持っているからですね。自分の感情を、作品にそのまま投影して直接見つめることが負担になる。そうなると、作業自体が負担になってしまいます。

白紙に自由に絵を描きだすことも同じで、一から何かを作り出すというのは自己表現でもあり、疲れている人にとってはストレスになってしまうこともあるのです。

しかし、「塗り絵」のように枠がすでに決まっていて、あとは塗るだけ・・・といったような「自由度の低い」作業は、自分で考える工程やストレスが減り、一つの作業に没頭できやすいです。「大人の塗り絵」が本屋のコーナーに並んでいて、疲れた大人のストレス解消法になるのはそれも理由の一つなんですね。

金継ぎも同じで、一から自分で作り出すわけではありません。
しかし「壊れたものを修復する」というのは自分自身の疲れた精神を作品に投影し、金継ぎにて修復していくことで自分の精神も修復されていく「感覚」をもたらします。

「傷」がその作品の存在価値になる

一度傷ついたものは、価値がない。一度壊れてしまったら、取り返しがつかない。そういう考え方は、金継ぎの世界には不要です。
むしろ金継ぎは、「傷」があるからこそ成り立つものになります。金継ぎで出来上がる作品は、傷そのものがその作品の存在価値になるといってもいいでしょう。

金継ぎが最も人に効果的に働くのはこの部分であり、「傷ついても、それは一つの価値になる」「壊れたものも、また修復できる」といったような価値観を人の心にもたらす効果があります。

金継ぎを通して、そういう経験を繰り返していくことで、傷が癒されていく感覚と、「傷こそが、自分を作り上げている」という新しい価値観を個人に生みだすことができること。それが金継ぎ独自の心理的効果といえるでしょう。

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