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【第3回全国金継ぎ認知度調査2022】金継ぎの認知度80%増!人気の裏側調査の結果を公開

金継ぎに対する認知度や意識の変化を、3年間の推移とともに男女・年齢別で解析し、定量的に明らかにしました。特に若年層での変化が顕著で、20代の約半数が金継ぎをコロナ禍に知ったという結果に。つぐつぐの過去の調査中で最大規模の人数を対象にした結果の詳細ををご報告します。

①なぜ金継ぎ(きんつぎ)の認知度調査が必要なのか?

金継ぎされた器

つぐつぐ は、コロナ感染症がまさに始まろうとしている2020年3月に、金継ぎ専門の会社としてスタートしました。会社をスタートさせるには大変厳しい状況と考えられる中、金継ぎ関連商品・サービスはむしろ世の中に受け入れ、おかげさまで急成長を遂げました。

つぐつぐがスタートした数年前にはあまり知られていなかった金継ぎですが、このようなニッチな分野で事業を拡大できた最大の要因は、金継ぎが人々の心を捉えたたけでなく、コロナ禍にさまざまな媒体を通じて、急速に世の中に認知が拡大したからだと考えています。

つぐつぐ自身も、創業以来のコロナ禍に、テレビをはじめとするメディアから取材を多く受けました。メディアが金継ぎ、そしてつぐつぐを取材対象として選んでくださった理由はさまざまです。金継ぎがSDGsに合致すると考えられることや、おうち時間にできることとしてブームとなっていること、さらに海外は金継ぎを日本特有の文化ととらえているので、この分野で専門性の高いつぐつぐに興味を持ってくださったようです。これまでの取材では、つぐつぐに来店されるお客様の数を根拠にしかお伝えできませんでしたが、実際のところ全国ではどうなのだろう?本当に金継ぎはブームだったのだろうか?と思うようになりました。そこで、この数年間に、世の中の金継ぎの認知度はどれだけ変化したのかなどを、きちんと調査して数字でも世の中に示したいと思いました。

つぐつぐに来られるお客様は圧倒的に女性が多いため、これまでは女性のみを対象に調査を行ってきましたが、今回の2022年は前回の1.5倍以上の規模で、男性も含めてアンケート調査を実施し、男女別・年代別でも傾向を解析できるようにしました。

この統計データは、つぐつぐの今後のサービス向上に役立てるだけでなく、金継ぎに興味のある方、伝統工芸分野に携わる全ての方へ共有してご活用いただき、日本の文化の活性化に寄与したいと考えて、公開することにいたしました。(PR TIMESでも、簡略したまとめを配信させていただきました)

②金継ぎ認知度調査の対象者数と背景

全国金継ぎ認知度調査はこれまで3回の調査において、少しずつ対象者数を増やしていきました。

東京金継ぎ認知度調査2019(第1回)
2019年10月3日、東京在住の女性111人を対象に、オンライン調査
回答者年齢分布:10代 1%、20代 18%、30代 38%、40代 28%、50代 12%、60代 3%、70代 1%
初回は、つぐつぐがまだ創業する前の市場調査でした。

全国金継ぎ認知度調査2021(第2回)
2021年5月26日、日本全国の女性233人を対象に、オンライン調査
回答者年齢分布:10代 1%、20代 26%、30代 38%、40代 25%、50代 10%、60代以上 1%
金継ぎブームと言われる最中に、より分析の精度をあげるべく、第1回より対象者数を増やして調査しました。

全国金継ぎ認知度調査2022(第3回、今回)
2022年10月5日〜13日、日本全国の女性216人、男性151人(計367人)を対象に、オンライン調査
回答者年齢分布:
(女性)20代 15%、30代 32%、40代 19%、50代 19%、60代以上 16%
(男性)20代 14%、30代 16%、40代 28%、50代 17%、60代以上 25%
男性を調査の対象に含め、さらに年代別での傾向を調べるために、各年代で一定数以上の人数を対象に集めました。

③全国金継ぎ認知度調査2022 結果発表

Q1. 金継ぎ(きんつぎ)を知っていますか?

  • 金継ぎを知っていて、金継ぎをしたこと(または金継ぎ修理依頼をしたこと)がある…2.5%
  • 金継ぎを知っているが、金継ぎをしたこと(または金継ぎ修理依頼をしたこと)がなく、やってみたい…39.8%
  • 金継ぎを知っているが、金継ぎをしたこと(または金継ぎ修理依頼をしたこと)がなく、やってみたいと思わない…31.3%
  • 金継ぎを知らない…26.4%

最新の2022年では全体で74%の人が金継ぎを知っていると回答し、2019年以降の3回の調査で続けて認知度が上昇していることがわかりました。ただし、2022年の調査では男性を含んでいますが、過去2回は女性のみを対象としています。過去2回の調査では男性を対象に含めると、認知度はもっと低かったと推測されます。

今回初めて実施した男女別の分析では、女性の方が金継ぎを知っていると回答した人が約10%多いことがわかりました。つぐつぐの金継ぎ教室に参加される生徒は女性が9割以上と圧倒的に多いため、仮説としては男性の認知度は極めて低いことを予想していましたが、男性も大半の人が金継ぎを知っていることが明らかになりました。金継ぎ教室だけでなく、金継ぎ関連のさまざまなサービスを展開するつぐつぐ社内のデータでは、確かに金継ぎキットを購入される方や金継ぎの修理依頼に訪れる方は男性の割合が少し増えます。(女性の数を超えるほどではありませんが)金継ぎにより割れた器を伝統的に美しく修復したいというのは、性別を超えたニーズなのかと思いました。

データ解釈において1つ注意点としては、前回より今回の方が若年層の回答者数が多いことです。そして、後で紹介するように、若年層の方が金継ぎを知っている割合は低いです。調査には10代以下は対象に含めていませんし、おそらく10代以下の認知率はもっと低いと考えらますので、全ての日本国民としてはもう少し認知度は低い結果となるでしょう。

女性だけについて過去の調査と金継ぎの認知度を比較すると、コロナ感染症流行前である初回の調査、2019年10月より36.3%上昇、2回目の調査である2021年5月からは21.3%と、認知度は大きく飛躍しました。

認知度だけでなく、金継ぎに意欲的な回答は全体で42.3%に昇りました。金継ぎに興味を示す回答は当社の2021年の調査から約10%伸長しており、日本人に金継ぎの魅力が浸透してきているように思います。

年代別にみると、年齢が若くなるにつれ金継ぎの認知率は低下しますが(金継ぎを知っていると回答した人は20代で60%、60代以上で81%)、逆に、金継ぎをしたことがある、またはやってみたいと考える割合も若年層で高くなる傾向がありました(20代で49%、60代以上で35%)。

このことから、若年層の金継ぎの認知を拡大することで、より多くの方に興味を持っていただける可能性が示唆されました。

Q1.1 「金継ぎを知っている」と答えた方は、いつ知りましたか? 

  • 今年(2022年)…10%
  • 昨年(2021年)…10%
  • コロナ感染症が始まって以降、同年内(2020年3月〜2020年12月)…12%
  • 東日本大震災が起きて以降、コロナ感染症が始まるまで(2011年3月〜2020年2月)…26%
  • 東日本大震災以前(2011年2月以前)…42%

約3人に1人がコロナ感染症が始まって以降金継ぎを知ったと回答し、ここ数年で急速に金継ぎの認知度が拡大したことが伺えました。

「なぜ東日本大震災で区切ったのか?」というご質問を受けそうなので説明します。理由は2つあります。1つは、東日本大震災が起きた約10年前から、じわじわと金継ぎの人気が上がってきたと漆芸関係者からよく耳にすることです。日本のような地震が多い国では、大きな地震でたくさんの食器がが壊れるので、その後に「金継ぎしよう」という風潮になるのでは、というのです。地震の後に壊れた食器を金継ぎして修復するという新聞記事をみたことは何回もありますので、その仮説を検証したい気持ちがありました。2つ目の理由は、人々の記憶において西暦だけで区切って回答を得るのは難しいのではと考え、記憶が鮮烈な出来事で区切りました。(自分が西暦何年に「金継ぎ」知ったかを質問して、答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。)

続いて、男女別、および年代別で解析した結果です。

男女別の差異をみると、女性はコロナ禍に金継ぎを知った割合が男性より6.1%高く、男性は東北大震災以前より金継ぎを知っていた割合が女性より8%高い結果となりました。

年代別でみると、20代では48%の人がコロナ禍に金継ぎを知ったと回答し、60代以降では半数以上の人が東北大震災以前から金継ぎを知っている結果となりました。ただし、年齢が高い方の方が生きてきた年数が長いため、過去に金継ぎに触れる機会や可能性も高まるのは当然の結果とも言えます。

Q2. 破損した陶器を修復し、その割れ目をあえて金のラインで目立たせる金継ぎは、元の器の値段より高額であることが多いです。自分がとても大切にしている器が割れてしまったら、金継ぎで修復したいと思いますか?

  • 現在破損した器をもっており、金継ぎで修復したい。 …5%
  • 現在破損した器をもっているが、金継ぎで修復したいか分からない。…5%
  • 現在破損した器をもっているが、金継ぎで修復したいと思わない。…4%
  • 現在破損した器をもっていないが、将来もし大切な器が割れてしまったら、金継ぎで修復する可能性がある。 …59%
  • 現在破損した器をもっていないし、将来もし大切な器が割れても、金継ぎで修復したいと思わない。…27%

全体で64%の人が、将来金継ぎする可能性を示しました。金継ぎについて知らない方もいますし、知っている方も値段について詳しくないはずですので、「元の器の値段より高額であることが多い」ことを伝えた上での回答です。また、現在破損した器を持っている人の割合は14%でした。

将来金継ぎする意欲のある人の割合は男性より女性の方が12%高く、さらに破損した器を持っている割合も女性の方が4%高いことがわかりました。つぐつぐの金継ぎ教室に来られる方も、器好きで陶器を集めていらっしゃるお客様が多く、また料理などで器に触れる時間も男性より長いと考えられますので、器へ興味と愛着心の高さを示しているのではないかと考えています。

Q3. (記述式回答)金継ぎを、いつどのようにして知ったか・金継ぎに対するイメージ

金継ぎを知っている人の約半数がテレビを通じて金継ぎを知ったと回答しました。テレビ以外のメディアについての回答も多く、雑誌やSNS(インスタグラム、Twitter、YouTube)、漫画などがあげられました。女性において注目すべきは、金継ぎをしている友人や、金継ぎされた器を展示しているお店・金継ぎを体験できる場所など、周囲で実際の目/耳にする機会が増えたことが知るきっかけになっていました。さらに身近なところでは、祖父母や友人の家、あるいはレストランで金継ぎされた器が出されたことで金継ぎが話題になり知ったという回答も複数ありました。

男性の特徴として、祖父母や母が金継ぎした器を持っているなどご家庭内で知ったという記述の他、漫画や本で知ったという回答が一定数ありました。漫画のタイトルには「美味しんぼ」「へうげもの」があげられました。

金継ぎに懐疑的な意見としては、男女に共通して「金継ぎは高額なので手が出ない」「金継ぎするほど高価な器を持っていない」「新しいものを買えば良いと思う」「割れ目を目立たせたくない」という声もありました。

コロナ感染症流行前の初回の2019年の調査では「金継ぎ修理された後のデザインが気にいるかどうか不安である」「自分の大切な器を預ける職人が信頼できるか分からない」など金継ぎに対する不安の言葉が多くありました。しかし今回の調査では、そういった懸念を表す回答は減っており、金継ぎの認知度の上昇だけでなく、その意義が世間に理解されてきた印象を受けました。金継ぎがメディアに取り上げられることが増えたことだけでなく、実際に金継ぎをしている人が増え、それを目にする機会も増え、金継ぎがより身近になり安心感を持っていただけるようになったのではと考えています。

④調査結果のまとめ

今回の調査結果をもとに、つぐつぐはこれから以下の3つのことに注力することを宣言します。

①金継ぎを一般の方に実際に見て触れていただける機会をより一層増やします:東京の恵比寿本店・浅草店の2店舗のみならず、遠方でのイベントに出展したり、他社とコラボレーションするなど、日本全国でみなさまに本物の金継ぎを見て触れていただけるようにします。

②金継ぎ魅力をテレビやSNSなど様々なメディアに配信することに注力することで、多くの方に知ってもらいます:YouTube、インスタグラム、海外に向けて英語の記事の配信を増やします。

③幅広い金継ぎの手法を伝え、ひとりひとりの器にあったお直しを提案します:金継ぎは実は金だけでなく、銀、あるいは色漆でお直しが可能です。最近、目立たない色の修理をご希望される方が増えているため、共継ぎ(ともつぎ)とよばれる伝統手法で、元と同じような色で直すサービスも行っています。

より一層精進し、老若男女問わず幅広い層に受け入れられ喜ばれるサービスを展開していきたいと考えています。

今後もつぐつぐの活動を応援いただけるとうれしいです。

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